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「千直」マイスターが語る、
アイビスSDで勝てる馬の条件

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 前回コラムの七夕賞(7月10日/福島・芝2000m)では、「ヒモ穴馬」に取り上げたオリオンザジャパン(せん6歳)が11番人気ながら見事3着に入線(※7月9日配信「お星さまがくれる高配当。七夕賞はオリオンザジャパンで爆勝だ!」)。この調子で今週もとっておきの「穴馬」を推奨できればと思っています。

 さて今週から、夏の新潟、小倉、北海道では札幌開催が開幕。いよいよ夏競馬も佳境に入ってきましたね。

 その開幕週、新潟で行なわれる重賞は、サマースプリントシリーズ第3戦となるアイビスサマーダッシュ(7月31日/新潟・芝1000m)。みなさんご存知のとおり、直線コースで行なわれる国内唯一の重賞競走です。

 この新潟の芝・直線1000mは、俗に「千直」と言われるコースで、現役時代の僕にとっては非常に相性のいい、得意なコースのひとつでした。実際、大規模な改装工事が完了した2001年の夏、その最初のレース(第1レース)が「千直」の3歳未勝利戦だったんですが、このレースで勝ったのも実は僕なんです。国内初めての「千直」で勝てたことが、そのまま自分の中でもいいイメージとして残ったのでしょうね。そういえば、当時朝イチの未勝利戦だったにもかかわらず、花束をいただいたのを憶えています。

 その年から、「千直」の重賞アイビスサマーダッシュも施行されました。僕はカルストンライトオで2回勝たせてもらっているのですが、他にもマリンフェスタの2着などあって、やはり相性のいい重賞レースでしたね。

 引退した2006年まで、第1回を除いて毎年騎乗させてもらったレースですが、「千直」ならではの独特の駆け引きがあります。それが、勝敗を分けるポイントになりますね。

 大事なのは、まず枠順。誰もが承知のことと思いますが、外枠が好成績を残しています。僕が2回勝ったカルストンライトオも一度目は8枠12番、2度目は5枠5番でしたが、スタートしてすぐに大外へ進路を取ってラチ沿いを走らせました。特に当時は夏の新潟連続開催の終盤に行なわれていて、内のほうが荒れていたので当然の対応でした。最近は開催序盤に行なわれているので、馬場の差はそれほどないと思います。

 それでも、なぜ外枠のほうが好成績を挙げていて、競馬もしやすいのか。

 これには、いくつか理由があります。ひとつ言えるのは、フルゲートの18頭立てだとしても、内枠に比べて外枠のほうがラチまで2、3頭分の余裕があって、そこにスペースがあるため、スムーズに競馬ができるのです。これは、大きなアドバンテージになります。

 しかし最近は皆、外へ集中してくるので、スタートで出遅れた馬は行き場をなくして、ロスのある競馬になってしまうことが多々あります。1000mという短距離戦ですから、少しのロスが勝敗に大きく影響します。できれば、そのロスは避けたいところです。

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著者プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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