2016.07.03

ああ悲運のドゥラメンテ。2世に託された「凱旋門賞」制覇の夢

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by AFLO

 皐月賞を異次元の末脚で勝ったとき、競馬ファンの中には、いつかドゥラメンテが今日のような悲運に見舞われるのではないか、と危惧した人も少なからずいたのではないか。

二冠馬ドゥラメンテ。皐月賞で見せた末脚には誰もが驚愕した 2015年4月、中山・芝2000mが舞台となる牡馬クラシック第1弾。3番人気のドゥラメンテは、直線入り口で包まれそうになると、内ラチ沿いから横ざまに馬群の外へ”ワープ”。そこから進路を前方に取ってからは、先行する馬たちがまるで止まって見えるほどの豪脚でごぼう抜きした。

 あのとき、鞍上のミルコ・デムーロ騎手はまだゴール手前だというのに、「アンビリーバブル!」とばかりに何度も首を振る仕草を見せた。それ自体が、ドゥラメンテの末脚がいかに驚異的かを物語っていた。

 だが、別の見方をすれば、その末脚は”切れすぎ”たのだ。

 競馬の世界では、昔から「走る馬ほど壊れやすい」と言われる。それゆえ、あのドゥラメンテが見せた”異次元の末脚”には、感動すら覚える一方で、「壊れやしないか……」という不安もまた、つきまとった。

 競走馬の走る本能は、肉体的な限界などやすやすと超えて、あげくの果てには自らをも破壊してしまうほど凄まじいものだ。ドゥラメンテはそのような宿命を背負った、まさに”走る馬”だった。