メンタルを鍛えたドゥラメンテ。宝塚記念を勝って「世界制覇」へ (2ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu   村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

 そう指摘するのはスポーツ報知の牧野博光記者。ファンが懸念する要素は、大きく分けて3つあるようだ。

 まずひとつめは、海外遠征から戻ってからの調整の難しさだ。春シーズンは、2000~2400mを主戦場とする馬にとって、日本国内に最適な大レースがないため、ドバイや香港にその矛先を向けることが多い。しかし、これらの遠征を経て宝塚記念に向かった馬たちは、07年にドバイデューティフリー(1着)→香港・クイーンエリザベス2世C(3着)から宝塚記念を制したアドマイヤムーンのほかは、軒並み敗れているのである。最近の例では、ブエナビスタやジェンティルドンナがドバイ遠征後に直行、あるは1戦はさんで宝塚記念に向かい、それぞれ人気で敗れている。また、直近では、ドゥラメンテと同じ堀厩舎のモーリスが、香港・チャンピオンズマイルを制して臨んだ安田記念で、断然人気を集めながら2着となったことも記憶に新しい。

 ふたつめは、不在中に台頭した同世代の存在だ。昨春のクラシックでは圧倒したはずのキタサンブラックは菊花賞、天皇賞・春を制し、GIタイトルの数ではドゥラメンテに並んだ。4歳の夏を迎えて、昨春の差がどこまで詰まっているのか、あるいは逆転しているのか、ここで証明されることになる。また、同厩のサトノクラウンをはじめ、アンビシャスシュヴァルグランタッチングスピーチらもGI勝ちこそないものの重賞勝利などで存在感を示している。

 三つめは、ドゥラメンテ初となる関西への輸送競馬である。これまで国内で走った7戦はいずれも東京か中山の関東圏で、海外遠征のドバイは競馬場に隣接した厩舎に滞在しての調整だった。もともと気性的にうるさい面のある馬だけに、夏場の長距離輸送を経ての出走に、輸送がどこまで影響するのかは気になるところだろう。

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