【競馬】藤田伸二騎手、突然の引退に想う「忘れられないレース」
フサイチコンコルドでダービー制覇を飾った藤田伸二騎手。 藤田伸二騎手(43歳)が、突然の現役引退を表明した。
JRA通算1918勝を挙げて、重賞93勝、うちGI17勝(地方交流GIも含む)。トップジョッキーと呼ばれるにふさわしい堂々たる成績だ。
「男・藤田」の愛称で親しまれ、「大舞台に強い」とも、「ここ一番で頼りになる騎手」とも言われた。
まだ、43歳。競馬学校の4期上となる武豊騎手(46歳)や蛯名正義騎手(46歳)らがリーディングの上位を争い、同期の四位洋文(42歳)も変わらぬ手綱さばきで奮闘中であることを思えば、早過ぎる引退、という感は否めない。
競馬サイトで発表した引退メッセージを読むと、JRAに対する不満など、精神的に積もり積もったものが限界に達したということらしいが、貴重な個性派ジョッキーがまたひとり、表舞台から消えてしまうのは寂しい限りだ。
思い出すのは、1996年の日本ダービー。
舞台となる東京競馬場で、藤田騎手が手綱をとるフサイチコンコルドの単勝馬券を握り締めて、のどが張り裂けんばかりの声援を送った。
実は、その何日か前、北海道早来の社台ファームに取材に訪れていた。そこで、フサイチコンコルドの育成に携わっていたスタッフのひとりから、「僕らは(ダービー制覇の夢を)ぜんぜん諦めていませんから」という話を聞いたのだ――。
1 / 4