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【競馬】ハイレベルな安田記念。話題性乏しい香港馬が逆に不気味 (3ページ目)

  • 土屋真光●文 text&photo by Tsuchiya Masamitsu

 もう一頭のヘレンスピリット(せん6歳/C・ファウンズ厩舎)は、ちょっと変り種だ。

 もともとはアラシンの名前で、フランスでキャリアをスタートさせた。2歳時には、のちにニエル賞(ロンシャン・芝2400m。凱旋門賞の前哨戦)でヴィクトワールピサを一蹴する、ベカバッドやプラントゥールらと好勝負を演じ、素質の片鱗を見せていた。当時の騎乗者に、ペリエやルメールといった名前が並ぶことから、同馬への期待の高さがうかがえる。しかし、重賞でなかなか結果を残せず、3歳シーズンを終えると、香港に移籍。ヘレンスピリットと改名され、香港で奮闘することになった。

 管理するのは、ラッキーナインやグリーンバーディーなどを擁して、日本のレースに果敢に挑戦し続けているファウンズ調教師。日本のことは熟知しているだけに、軽視するのは禁物だろう。2週間前には、その管理馬ラッキーナインでシンガポールの国際GIクリスフライヤー国際スプリント(クランジ・芝1200m)を制し、勢いもある。

 昨年10月以来、休みなく使われてきたヘレンスピリット。安田記念は今年に入って6戦目となるが、そのハードスケジュールも陣営は問題視していない。

「昨シーズンも後半に連勝したように、使い続けているほうが、調子が出るタイプ。日本に来たことはいいリフレッシュになっていて、レースにもいい状態で出せそう」と、遠征中の管理を託されたクリス・ソー調教助手はウインクする。

 今年は、人気の盲点となりそうな香港勢。日本の豪華メンバーにひと泡吹かすシーンがあっても不思議はない。

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