【競馬】天皇賞・春、大穴は豪脚健在の「9歳馬」ジャガーメイル (2ページ目)

 昨秋、フェノーメノは天皇賞・秋(2012年10月28日/東京・芝2000m)に参戦し、菊花賞でゴールドシップとの再対決はありませんでした。そのため、ダービー後のゴールドシップとの力関係は正確には測れませんが、フェノーメノは天皇賞・秋2着、ゴールドシップは有馬記念1着と、ともに一線級の古馬相手にも好走しており、2頭の勝負付けはまだ済んでいないと言えるでしょう。

 ただ今回は、関西馬で地の利があるゴールドシップに比べて、フェノーメノは初の関西遠征で、初めての競馬場でのレースになります。そのふたつが、大きな課題です。

 というのも、通常、美浦トレセンから東京競馬場までは2~3時間の移動で済みますが、京都競馬場までは7~8時間かかるからです。いつもより長い時間の輸送をどう克服するかが、第一のポイントです。

 そして、馬は基本的に臆病な動物です。そのため、初めての競馬場に行くと、物見をしたりして、周りを気にするところがあります。その新しい環境にすぐに馴染めるかどうかが、ふたつ目のポイントになります。

 フェノーメノはイレ込むタイプではありませんが、何より重要なことは、それぞれの課題をクリアすること。それが実現できれば、ゴールドシップと互角以上、ひょっとすると逆転できる可能性も生まれるかもしれません。

 さて、そんな若い4歳馬たちが主役を務める天皇賞・春。一転、「ヒモ穴馬」には、"大ベテラン"のジャガーメイル(牡9歳)を取り上げたいと思います。

 3年前(2010年)の天皇賞・春の覇者で、そのときは前年の勝ち馬マイネルキッツを強烈な脚で差し切りました。その後は、運がなかったり、ケガをしたりして勝ち星に恵まれていませんが、競馬の内容は決して悪くありませんでした。

 そうした中で、鮮烈だったのが、昨年末の香港ヴァーズ(2012年12月9日/香港・芝2400m)の快走。ゴール前で惜しくも差されて2着に終わりましたが、早々に先頭に立つ"横綱競馬"は圧巻でした。

 そのまま、年明け初戦となる前走のダイヤモンドS(2月16日/東京・芝3400m)でも、58.5kgのトップハンデを背負いながら、1番人気アドマイヤラクティ(牡5歳)の2着と好走。残り1ハロン(200m)で一度は伸びを欠いていましたが、残り100mでムチを打たれると再び伸びて、粘るメイショウカドマツ(牡4歳)を差し切りました。3400mの長距離戦でこんな競馬ができるのは、長距離適性が非常に高いことを物語っています。

 9歳馬ながら、衰え知らずのジャガーメイル。3年前に天皇賞・春を制したときの末脚も、いまだ健在です。なおかつ、鞍上は戸崎圭太騎手。ここ最近は、「どんな馬でも上位に持ってきてしまう」雰囲気が漂っていますから、チャンスは大いにあるのではないでしょうか。

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著者プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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