【競馬】混戦の桜花賞で浮上するのは、
前哨戦とは違うレッドオーヴァル

桜花賞での巻き返しが期待されるレッドオーヴァル。桜花賞での巻き返しが期待されるレッドオーヴァル。ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 桜花賞(阪神・芝1600m)を迎えると「いよいよクラシックだな」と、毎年胸が躍ります。なにしろ、競走馬にとって、クラシックは一生に一度の大舞台。ホースマンであれば、誰もが目標とし、憧れるステージですからね。

 JRAの桜花賞のCMには、1975年に桜花賞とオークスを制したテスコガビーが登場していましたね。牡馬の同期には皐月賞とダービーを制したカブラヤオーがいて、ともに現在は調教師の菅原泰夫師が騎乗していたお手馬で、2頭とも逃げ馬でした。

 テスコガビーは、桜花賞で2着馬に2秒近くの差をつけて圧勝しました。非常に衝撃的なレースで、オールドファンにとっては記憶に残る一頭なのではないでしょうか。そういえば、強い馬を形容するときに「テンよし、中よし、終(しま)いよし」という言葉を使ったりしますが、これは菅原師がテスコガビーを称して言ったのが最初だったように思います。

 さて、クラシックの始まりを告げる、今年の桜花賞は4月7日に開催されます。昨年もそうでしたが、今年もトライアル戦で有力馬が敗れたこともあって、混戦ムードが漂っています。

 そうした状況の中でまず注目したいのは、トーセンソレイユです。ご存知、ディープインパクトの半妹です。デビュー戦(1月13日/京都・芝1800m)は、勝ち時計も、着差(クビ差)も目立つものではありませんでしたが、先頭に並んでから伸びるという、勝負強さが光っていました。ゴール前でさらに伸びていた点にも、大物の相を感じました。

 そのレースぶりを見て「牝馬らしからぬ勝負根性があるな」と思っていましたが、一段とすごかったのが、2戦目となる前走のエルフィンS(2月2日/京都・芝1600m)です。馬群に揉(も)まれて、詰まって、万事休すと言うところから、グイッと伸びて勝ち切りました。これは、とてもキャリア1戦の馬とは思えない内容でした。なおかつ、ずば抜けた瞬発力、前に馬がいれば抜かそうとする勝負根性......、そのポテンシャルは、まさしくGI級だと思いましたね。

 そして、トーセンソレイユにとっては、ここで勝ち切ったことに、大きな意味がありました。(桜花賞に出走できる)賞金を加算できたことで、無駄にトライアルを使う必要がなくなったからです。もちろん、レースを使ってキャリアを積んだほうがいい馬もいますが、小柄で気性が勝ったこの馬の場合、ゆっくりと間隔を開けてレースに挑んだほうが、良い結果が出るように思います。

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