【競馬】中山牝馬S、波乱の使者は内田騎手が操るオメガハートランド
昨年は牝馬三冠レースにすべて出走し、一線級の馬たちと戦ってきたオメガハートランド。ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
3月10日(日)は、東西で牝馬の重賞が行なわれます。東が古馬の中山牝馬S(中山・芝1800m)、西は桜花賞トライアルの3歳戦、フィリーズレビュー(阪神・芝1400m)です。
この時期の牝馬戦では、いつも以上に馬の状態が重要視されます。というのも、この春先は、フケ(牝馬の発情)の出る季節。その影響によってレース結果が大きく左右されるので、フケがきているかどうかは見逃せないポイントになります。
ただし、厩務員などのスタッフは、担当している馬にフケがきたことはわかりますが、ファンの目から見て、それを判断するのは至難の業です。唯一、チェックできる可能性があるのは、パドックで同じ馬を見続けることです。すると、例えば他の馬と比べて落ち着きがないとか、何かしら違いを感じ取れるかもしれません。競馬場で観戦されるファンの方は、ぜひパドックをじっくりと見て、観察してほしいと思います。
さて、東で行なわれる中山牝馬Sは、毎年波乱傾向にあります。前述したとおり、牝馬にとっては微妙な季節の一戦で、それでいてハンデ戦ですから、荒れるのは当然のことなのかもしれません。
今年は、昨年の札幌記念(8月19日/札幌・芝2000m)で牡馬相手に勝利を飾るなど、実績上位のフミノイマージン(牝7歳)がトップハンデの57kg。これに、昨年の府中牝馬S(10月13日/東京・芝1800m)を制したマイネイサベル(牝5歳)と、前年の中山牝馬S2着馬オールザットジャズ(牝5歳)が、ハンデ56kgで続きます。
個人的な見解ですが、牝馬は負担重量55kgを越えると、パフォーマンスが落ちるような気がしています。もちろん馬によって差はありますが、やはり牝馬は牡馬に比べて骨格や筋肉などが華奢なので、斤量がある一定の重さを越えると、かなりの負担を感じるようになります。その分岐点となるのが、55kgだと僕は思っています。
中山牝馬Sで、その斤量55kgを越えたハンデを背負うのが、前出の3頭。どの馬も上位人気になるでしょうが、荒れる前提で考えれば、評価を下げてみたいと思います。
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プロフィール
大西直宏 (おおにし・なおひろ)
1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。