【競馬】オークスで、ディープ産駒がついに『負のレッテル』を打ち剥がす!?

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Nikkan sports

桜花賞はディープインパクト産駒がワンツーフィニッシュ。内から抜け出したヴィルシーナをジェンティルドンナが外から差し切った。桜花賞はディープインパクト産駒がワンツーフィニッシュ。内から抜け出したヴィルシーナをジェンティルドンナが外から差し切った。 昨年夏の札幌芝1800mの新馬戦、関西のある厩舎が管理する一頭の牝馬がデビューした。

 11頭立てで牡馬との混合戦だったが、彼女は1番人気に推され、見事に勝った。期待に違わぬ勝ち方だった。そしてその夜、調教師をはじめ、主な関係者が集まって、早くも今後の方針が検討され、「最大目標をオークスに置く」と決められたという。

 まだ2歳の夏。期待の大きい牝馬なら、まずは春の牝馬クラシック第一弾の桜花賞を目標にするのが、通例だろう。なのに、なぜその先のオークスをあえて目標としたのか? 理由は、デビュー戦の内容が、東京芝2400mで開催されるオークスを強く意識させるものだったからだ。

 レースは、前半のペースが超のつくスローで、俗に言う「ドスロー」。にもかかわらず、彼女は3コーナーを迎えても手綱を押されっぱなしだった。そんな緩い流れでも、なかなか行き脚がつかなかったのだ。ところが、直線に入ってようやくエンジンがかかり出すや、そこからがすごかった。一頭だけ次元の違う脚勢で馬群を抜け出し、終わってみれば2着に1馬身4分の1差の完勝だ。

 気性的におっとりしているため、レース序盤では戦う姿勢は見せない。でも、いったんその気になると、まさに一級品の末脚を繰り出して、牡馬をもねじ伏せる。そんな非凡なレースぶりが、関係者それぞれに強く『オークス』を意識させたのだ。

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