【育将・今西和男】森山佳郎「自分だけの武器を持たないと生きていけない」

  • 木村元彦●文 text by Kimura Yukihiko  photo by Kyodo News

『育将・今西和男』 連載第24回
門徒たちが語る師の教え U-15/U-16日本代表監督 森山佳郎(1)

U‐15日本代表を指揮する森山佳郎(右) U‐15日本代表を指揮する森山佳郎(右) 

 2016年5月7日。小平のカフェで、U-15/U-16日本代表監督・森山佳郎と会った。選手には自分のことを監督ではなく「ゴリさん」とニックネームで呼ばせてきたサンフレッチェ広島ユースの中興の祖は、高円宮杯の3連覇を含む主要ユースカップで合計8回の優勝をチームにもたらしている。結果だけではない。勝ち負けよりも選手そのものを育てるという哲学と実践により、11年にわたる指導者生活において数多くのJリーガーを育て上げてきた。

 特に1987年生まれ世代は槙野智章、柏木陽介、森重真人、福本尚純、平野甲斐、川上典洋、木原正和、左山晋平、石田聖雄と所属12人中9人をプロに送り出している。「朝と夕方で性格が変わってしまう」と言われる多感なこの世代の選手を長年まとめあげた実績は高く評価され、2015年に日の丸を背負う15歳以下世代の代表指揮官となったわけである。

 森山のスケジュールは多忙を極めていた。 4月20日(水)~5月3日U-15イタリア遠征、帰国後は空港から大阪・堺へ向かい5月3日(火・祝)~5日(木・祝)プレミアカップを視察。その後は5月8日(日)~15日(日)U-16中国遠征。空いているのはFC東京U-18の試合を観戦しようとしている、この7日しかなかった。換言すれば1日しかない移動日に今西さんのためならと、時間を作ってくれたのである。

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