「どん底」なでしこジャパンに見えた、わずかな未来への希望

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 岩渕真奈(バイエルン)、大野忍川澄奈穂美中島依美(いずれもINAC神戸)、横山久美(AC長野)、大儀見優季(フランクフルト)――意地の6発だった。

2019年のフランスW杯、2020年東京五輪でも活躍が期待される中島依美2019年のフランスW杯、2020年東京五輪でも活躍が期待される中島依美 試合前、先に行なわれていた中国対韓国の試合に中国が勝利したことで、日本のリオデジャネイロオリンピック出場の可能性は完全に消滅した。残されていたわずかな望みも失った状態で戦ったベトナムとの第4戦。

 佐々木則夫監督は「東京オリンピックにつなげる試合を」と中国戦のスタメンから8名を入れ替えた。ウォーミングアップ時には、主力組がボール拾いに走り、いつもの宮間あや(湯郷ベル)の鼓舞に呼応するように、大儀見、近賀ゆかり(INAC神戸)らもスタメンのアクションに大声で応える姿があった。

 今大会でベトナムはオーストラリアに9失点しているものの、組織化された守備と限りあるカウンターチャンスの1本狙いという明確な意図を貫く。リオ行きを決めた中国に2失点、北朝鮮には最後の最後で1失点を喫したものの、あと少しで引き分けに持ち込めるチームにまで成長していた。近年、ベトナムとの対戦は"得失点差を稼ぐ相手"ではなくなってきている。簡単にゴールを奪える相手ではないが、今のなでしこジャパンにとって、この一戦は、ただの勝利だけで終わるわけにはいかなかった。

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