閉ざされるリオ五輪への扉。絶望的状況の中で何を生み出すのか。
「これでいいのか!」「恥ずかしくないのか!」
気丈に一歩前に進み出た宮間あや(湯郷ベル)の目に、見る見るうちに涙が溜まっていく。10秒......15秒......宮間はゴール裏からの怒号に顔を背けることなく、ひとり最前列でしっかりと顔を上げ、唇を噛みしめながら真正面からその声を受け止め続けた。
キャプテンとして今の状況受け止めた宮間あや これが自分たちの招いたことの結末なのだと、これが自分たちの実力なのだと、これが自分たちの負う責任なのだと、自らに刻み付けているようだった。かかるはずのキャプテンからの挨拶の指示がないことに戸惑っていた選手たちもようやく、不動を貫く宮間の意図を理解する。そして一礼――全員が長い時間、深く頭を下げ続けた。最後まで頭を上げようとしなかった宮間。ここから新たななでしこジャパンを作っていく選手たちは、この宮間の姿を決して忘れるべきではない。
最後まで歯車は噛み合わなかった。負ければ、その瞬間にリオデジャネイロオリンピックへの扉は閉ざされる。この一戦の重要性は全員が理解し、気合いも入っていた。それでも、結果は出なかった。
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