2016.03.03

【なでしこ】まだあきらめない。絶体絶命からリオへの道を拓く

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 痛恨のドローだった。初戦、オーストラリアに完敗を喫した日本はすでに後がない。対して格上の北朝鮮を相手に勝ち点1をもぎ取り、続けて日本からの勝ち点奪取をもくろむ韓国との対戦はまさにシーソーゲームとなった。

前半にゴールの可能性を多く感じさせた横山久美 "敗戦"となれば、そこでオリンピックへの扉は閉ざされる。負けることが許されない第2戦は、初戦から6名が入れ替えられた。佐々木則夫監督が選んだのは選手たちが最もテンションを上げることができる超攻撃型の4-2-3-1。いわゆる勝負システムだ。宮間あや(湯郷ベル)を一列前に上げることで攻撃に活性化を求めたわけだが、前半はそれが功を奏した。前半だけで放ったシュートは10本。圧倒的に試合を支配した。

 特に際立っていたのは左サイドハーフ(SH)としてスタメンに抜擢された横山久美(AC長野)だ。開始直後にいきなりバーを直撃する強烈なシュートを放つと、その後も得意のドリブルで中央へ切り込み、3人に囲まれながらもフィニッシュするなど強気なプレーを連発。15分には宮間との絶妙なコンビネーションからボールを受けた後、左足、右足、そして再び左足とワンタッチでつないでチャンスメイクをしてみせた。宮間のイメージするスペースに走り込み、さらにその先にいた川村優理(ベガルタ仙台)の動きを把握できるほど周りがしっかりと見えていた。

 そんな横山も昨年のアルガルベカップで初招集されたときには全くボールが出てこないことに愕然とし、それだけ自分が信頼されていないと考えた横山は、まず自分のプレーを認めてもらい、信頼を得るところから始めた。ピッチ上では全精神を集中して空気を読み続け、それはトレーニングの合間でも変わることはなかった。どこに自分がいるべきか、何を要求されていて、どう動くべきなのか――その姿勢は「2年間、アヤさん(宮間)を見ていましたから」(横山)と、湯郷でともにプレーしていた際の宮間のサッカーに対する姿勢から学び取ったことだった。