【なでしこ】まだあきらめない。絶体絶命からリオへの道を拓く (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 日本に歓喜の瞬間が訪れたのはその6分後。川澄奈穂美(INAC神戸)のクロスのこぼれ球が岩渕にあたり、そのままゴール。狙いすましたシュートには程遠いものではあったが、何よりもその場所に“いる”ことが重要。これも岩渕のゴール嗅覚ということなのだろう。

 しかし、喜びはものの3分で終わりを告げる。クロスボールのキャッチに入ったGK福元がカバーに入っていた熊谷紗希(オリンピック・リヨン)と交錯し、こぼしたところをチョン・ソルビンに押し込まれた。

 そこから再びエンジンをかけた日本だったが、ゴールまでは遠かった。ラストでは、韓国のハイプレスをかいくぐりながら懸命にパスをつなぎ、宮間がギリギリのタイミングで岩渕へボールを託すが、トラップでコントロールできずシュートに持ち込むことができなかった。逆転勝利へのビッグチャンスであり、ラストチャンスだった。

「行けたっていうより行かなきゃいけない。あそこで点が取れていたら……。悔しいし、(他会場の結果を聞いて)勝ち点3取れていたら違ったと思う」――この岩渕の言葉がすべてを表している。

 攻撃的なシステムに変え、コンディションを考慮したスタメンに入った選手たちはそれぞれにパフォーマンスを発揮した。完全に日本の流れだった。そこを支配していたからこそ“このままいけば点を取れる”という漠然とした安心感はなかったか。「いつか」、「どこかで」ではなく、「今この流れで取る」という意識統一が欲しい。

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