閉ざされるリオ五輪への扉。絶望的状況の中で何を生み出すのか。 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 背水の一戦に佐々木則夫監督が絞り出したフォーメーションは、阪口夢穂(日テレ・ベレーザ)、川村優理(ベガルタ仙台)のWボランチ、左SHに3連戦となる宮間を据える4-4-2。2トップには大儀見優季(フランクフルト)と好調なプレーを続ける横山久美(AC長野)を組ませた。こだわり続けた宮間のボランチ起用から、サイドにスライドさせることで攻撃に緩急、変化を与えるであろうこの形。手詰まりとなった現状では最良の布陣だったと言える。

 両サイド奥のスペースから速いクロスでゴール前にチャンスを送る。狙いは明確になっていた。CKも獲得した。

 しかし、先制点を得たのは中国だった。川村のバックパスがつながらず、それをジャン・ルイにさらわれて失点。またしてもミスからの自滅パターンでビハインドゲームを余儀なくされた。それでも30分以降は、左サイドから鮫島彩(INAC神戸)のクロスに大儀見が競り、こぼれたところを中島依美(INAC神戸)が詰めてみせた。さらに、その4分後には横山がGKとの1対1に持ち込むなどあと一歩まで迫る場面もあったが、ゴールは遠い。

 後半、失点以降も馴染むことができなかった川村に代えて、岩渕真奈(バイエルン)を投入。ゴールを生むことなく、宮間をボランチに戻さざるを得なくなった。後半開始直後には、その宮間がミドルシュートを放ち、ゴールへの道筋を描きかけたが、58分、逆に中国がグー・ヤーシャのゴールで追加点。7分後に横山が自らのインターセプトからドリブルで持ち込み、一矢を報いたものの、そこからの波状攻撃で同点弾を生み出すことはできなかった。流れがあっても乗り切ることができなければ劣勢を押し戻すことなど不可能。この一戦でも、決定力不足の改善はならなかった。

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