「もう魂が抜けたようになっていた」古江彩佳がなぜ米ツアーで活躍することができたのか 永久シードプロが語る「強さの秘密」 (2ページ目)

  • 古屋雅章●取材・構成 text by Furuya Masaaki

 古江さんのことはアマチュア時代から見ていますが、精神的にもいつもフラットというか、安定しているタイプ。そこも、彼女の強さのひとつです。

 しかし2021年のオリンピック、東京大会の代表の座を、最後の最後で稲見萌寧さんに逆転されて逸した際には、会見で号泣していたと聞いています。母親のひとみさんに当時のことを聞くと、古江さんは「もう魂が抜けたようになっていた」と言います。

 それで「このままじゃダメだ」と思ったひとみさんは、「思いきって(海外メジャーの)『エビアン』に行ったら」と、古江さんの背中を押したそうです。

 そして、そのアムンディ エビアン選手権で4位に入った古江さん。自分のゴルフでも海外の試合で通用すると感じられたことで自信を取り戻し、それが今の米ツアーでの活躍につながっているわけです。

 ひとみさん曰く、「あの試合に行っていなかったら、もうダメだったと思います」というほどの状態だった古江さん。エビアン選手権のコースは丘陵地にあり、傾斜地からのショットを強いられることも多いので、ショットメーカーの古江さん向きですし、タイミング的にも本当にいい選択だった、と私も思います。

 今年の夏には、パリ五輪があります。本人が気にしていないとしても、大会が近づくにつれて五輪代表の話題がつきまとうことになるでしょう。それは、実力者たちの宿命と言えるかもしれませんね。

 今年は辰年で、古江さんは年女。それも、巡り合わせ、というものでしょうか。昨年にも増して、米ツアーでの活躍を期待したいと思います。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る