渋野日向子の全英女子OP連覇は?村口史子「気になるのはショートゲーム」 (3ページ目)
昨年とは違った状況ですから、確かに不安もありますが、昨季も異常なほどの"フィーバー"にさらされながら、渋野選手はその重圧に屈することがありませんでした。自らのゴルフを崩すことなく、最後まで賞金女王争いを演じました。メンタルの強さは折り紙付きで、周囲の期待も力に変えられる選手です。そんな彼女に対しては、期待のほうが大きいです。
ただ、昨年はピンを積極的に攻めていったことで、流れに乗ることができましたが、今年のコースでは、別の方法も考えておくべきでしょう。ピン脇に深いポットバンカーがあれば、大ケガをしないためにも、グリーン中央を狙って、セーフティーに迂回するマネジメントも必要になると思います。
さらに風のことを考えれば、それに合わせたクラブ選択や、その影響を受けない低い球を打つなど、これまで以上に、頭を使ったゴルフが求められます。
常に前向きに取り組む姿勢こそ、彼女の強みですが、舞台経験が少なく、コロナ禍で実戦経験も少ない状況にあって、今回の全英女子オープンでは、手堅く、慎重なプレーの追求も必要でしょう。自らの直感を信用し、目の前の一打に集中して、ひたすらパーセーブを心がける――そうしたゴルフに専念する場面が増えてもいいと思っています。
あと、ひとつ気になるのは、ショートゲームでしょうか。先にも触れたとおり、このオフにアプローチのバリエーションを増やしてきた彼女ですが、今季初戦のアース・モンダミンカップを見る限りでは、自分の武器になっている、というところまでには至っていない印象を受けました。
パターを使ってもよさそうなところでも、ウェッジを手にして、オフにやってきた練習の成果を、せっかくだから"出したい""試したい"という気持ちのほうが強かったように思います。結果として、それがいいほうに出たかというと、少し疑問があります。
そうしたなかで、全英女子オープンでは、どういう選択をするのか。できれば、オフにやってきた成果を発揮したいのはわかりますが、その思いにとらわれすぎないでほしいと思っています。全英オープンや全英女子オープンでは、50ヤード手前からでもパターを使っているシーンが見られるように、リンクスコースでは転がしこそ重要とされています。迷ったら無理することなく、得意のパターを選択してほしいですね。
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