2019.12.31

スーパースター渋野日向子。
タイガーに匹敵する「怖さ」を備えている

  • 水野光博●構成 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by Kyodo News

凄まじい盛り上がりを見せた2019年のゴルフ界。その発端となったのは、もちろん”ニューヒロイン”渋野日向子の登場だ。海外メジャーの全英女子オープンで優勝し、日本勢として42年ぶりの快挙を達成。以降も、日本ツアーで奮闘して「シブコ・ブーム」を巻き起こした。そんな彼女の強さについて、ゴルフジャーナリストの三田村昌鳳氏が検証する――。

「モグモグタイム」も渋野日向子の強さを示す要素のひとつ 初の海外、しかも初のメジャーでありながら、渋野日向子が8月の全英女子オープンで勝利したことは大きな衝撃でした。

 渋野の攻め方を見ていて、まず思ったのは、飛距離や技術的な部分よりも、”勝負強い”ということ。”勝負のかけ方がうまい”選手だな、と。

 たとえば、最終日の12番。1オンも狙える距離の短いミドルホールにおいて、優勝を争うほかの選手のほとんどがアイアンで刻むなか、彼女はドライバーを躊躇なく抜いて、1オンを狙っていきました。

 この一打が、勝つか、勝たないか、という部分において、大きなポイントのひとつでした。

“安全に攻める”ということが、決して悪いわけではありません。しかし、時に安全にいきすぎることは、「逃げている」と言うことができます。ゴルフの世界では、その選択によって、勝敗が左右されることが多々あります。

 勝つためには、前向きさであったり、思い切りのよさであったり、そういう勢いも大事。もちろん、4日間72ホールの中で、安全に攻めるべきポイントはいくつもあるでしょう。しかし、どこかで勝負をかけなければ、勝つことはできないのです。

 どうすれば勝てるかがわかる選手、たとえばタイガー・ウッズは、勝負の機微、優勝するための一打、勝負の流れを分ける一打、というものを見極め、そこでピカイチのショットを打ちます。

 渋野も、そういう一打を本能的に打てる選手だな、と全英女子オープンを見ていて思いました。リスクを冒してでも攻める勇気のようなものを、彼女は本能的に持っているのだと思います。

 彼女が勝負に出た12番。見事に1オンに成功しましたが、もしミスしていたとしても、周囲には「彼女は、やがて勝つだろうな」という感覚を残したことでしょう。