2019.10.29

タイガー・ウッズからの「最高の
プレゼント」に日本中が酔いしれた

  • 柳川悠二●取材・文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Getty Images

 崇高な舞台には、至高の時間が流れていた。

 前日の日没サスペンデッドにより、7時半という早朝の澄み切った空のもと、12番ティーグラウンドから最終ラウンドのリスタートを切ったタイガー・ウッズが首位を走る。ひとつ前の組では、日本の松山英樹がウッズに追随し、16番でバーディーを奪って2打差に迫る。

 2日目が豪雨に見舞われ、最終日が月曜日に持ち越された日本初開催のアメリカPGAツアー、ZOZO CHAMPIONSHIP(千葉・習志野CC)。主催社や、ゴルフというプロスポーツを報じるメディアとしても、あるいは日本のゴルフファンにしても、にわかのファンであっても、誰もが心から願いながら、それはあまりにも出来すぎゆえ、口に出すことすら憚(はばか)られるような最高のシナリオ――。

 つまり、ゴルフ界のスターにしてレジェンドと、日本のゴルフ界の”顔”によるデッドヒートが、習志野CCを舞台に現実となった。

 どちらが勝つにせよ、盛り上がりは最高潮に達したはずだ。だが、ウッズが勝利すれば、サム・スニードが保持する通算82勝という、PGA史上最多勝利に並ぶ付加価値までつく。

 そして、初代王者に輝いたのは、ウッズだった。

 18番(パー5)では2打目をバンカーのアゴ付近に入れるも、見事なロブショットで約2.5mの位置につけ、バーディーフィニッシュ。松山に3打差をつける通算19アンダーで82勝目を飾った。

 4月のマスターズを勝った時のような雄叫びはなくとも、ウッズは喜びに浸るように、静かに右手、左手を交互に高く上げて歓声に応えた。

「82勝というのは、重要な意味を持つ。安定して、長く結果を残し続けてきた結果。サムは50代で達成し、自分は今、40代。このようなキャリアを築くことができて、恵まれている。この勝利を日本で迎えたことは、自分がグローバルプレイヤーとして活躍してきたことを示していると思う」

日本初開催のPGAツアーで、歴史的な勝利を飾ったタイガー・ウッズ 兎にも角にも、ウッズにとって、いろんなことがあった一週間だった。

 10月20日の日曜日、『TIGER IS BACK』と題されたナイキのイベントにはじまり、翌月曜日は、ロリー・マキロイ、ジェイソン・デイ、そして松山と賞金を争うスキンズマッチに臨んだ。