【木村和久連載】ゴルフコースの設計と
円熟にまつわる「よもやま話」 (2ページ目)
もちろん、ダメな設計家が造るマウンドは、大雨で崩れることも......。あれも、不思議です。
とにかく、井上誠一設計のコースで、崩れたマウンドなんて見たことがないです。
加えて、芝付き。開業5年ぐらいしたコースでも、相変わらず芝付きが悪く、まったく芝が生えない、といったコースがあります。それは、単に木陰などに覆われて日照時間が少ないなどの問題ではないようです。
そこには、設計的な問題もあって、最終的には土壌の問題にまで発展していきます。そういう芝付きの悪いコースは、そっくり土を入れ替えて、土壌を改良する場合もあるみたいです。
あと、ビジュアルね。こちらは管理の話になりますが、たとえばフェアウェーにも、順目と逆目があるって、知っていますよね。ティーグランドから見て、明るいフェアウェーが順目で、暗いのが逆目です。これは、芝刈り機の進行方向で芝目がつきます。
芝刈り機で、フェアウェーを横に行ったり来たりすれば、ゼブラ模様の、まるでシマウマのボディのようなフェアウェーになります。
つまり、ディーグラウンドから見て、左側は順目、右側は逆目といったようにきれいに整えるとしたら、芝刈り機で計画的に刈る、という面倒なことをしなきゃならないわけです。
その点、名門系のコースはしっかりしています。順目と逆目のフェアウェーが左右に分かれていて、非常に見やすくなっている場合が多いです。このひと手間が、コースの美観を左右するってもんです。
さて、新設コースはさまざまな問題を抱えていますが、一方で開業40年を経て、風格が増してきたコースはどうなのでしょうか。たしかに立派で円熟しているのですが、弊害も多々あります。
まずは、樹木が成長しすぎて、かえって邪魔になっていることがあります。狭いショートホールでは、左右の樹木がせり出しすぎて、上の部分がくっつきそうになっているところも......。そんなね、樹木でアーチを作ってどうするの?
コース側は、難易度を高めたい考えもあって、わりと樹木を伐採することには消極的です。
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