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試行錯誤しながら日本で奮闘中。
美人プロ、セキ・ユウティンの挑戦 (2ページ目)

  • 吉田洋一郎●文 text by Yoshida Hiroichiro

 ただ、日本ツアー参戦1年目の結果は芳しくなかった。17試合で予選落ちを喫し、トップ10フィニッシュは一度もなかった。賞金ランキングも78位に終わって、目標としていた賞金シード獲得はならなかった。

 さらに昨季は、QTもサードで脱落。その結果、QTランキング116位という今季は、レギュラーツアーへの出場機会はほとんど得られず、下部ツアーのステップ・アップ・ツアーに参戦しつつ、主に中国を含めたアジアのツアーを転戦している。

 日本ツアー参戦を果たした昨夏、セキは飛距離に悩んでいた。

「今まで、自分で飛距離が足りないと感じことはなかったけど、(日本の)レギュラーツアーだと、20ヤード近く置いていかれることもある」

 そこで、セキはある人物を訪ねた。バイオメカニクス(生体力学)の専門家、テキサス女子大学のヤン・フー・クォン教授である。そうして、同教授が開発した最新機器を使用して、セキの体の動きを分析してみると、力の出し方に大きなロスがあることがわかった。

 セキは、その測定結果を基にした指導を積極的に試し、それをスイングに落とし込んでいった。

 その姿勢には、現場からも「とても吸収力が高い選手」と高評価を得ていた。セキ自身、「こんな体の使い方をしたことはなく、プラスの経験になりそう」と、バイオメカニクスによる指導をポジティブにとらえて取り組んでいた。だが――。

 吸収力や適応能力の高さは、ゴルファーにとってとても大切な能力だ。自らの体形やクラブ、プレーするフィールドが変わっても、それに対応できる者が安定した成績を収めることができる。

 しかし一方で、そういう選手は情報をインプットしすぎるというリスクもある。スイングの構築は、単純な足し算ではなく、新しい動きを取り入れることによって、取り除いていかなければいけないものがあるが、そういう選手は一度吸収したものをなかなか捨て切れないのだ。

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