【木村和久連載】シニアゴルファー「俺も昔は飛んでいた」問題の深層 (3ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 大先生に誘われて行ったコースは、超名門の距離の長いコースでした。大先生はそこでも、まったく迷うことなく、レギュラーティーからボールを打ち始めます。

 400ヤード程度のミドルホールもありますが、そんなことも意に介さず、平然とドライバーを打っていきます。ドライバーの飛距離が180ヤードぐらいで、セカンドショットが150ヤードぐらいでしょうか。

 ゆえに、長いミドルではさすがにパーオンは望めませんが、残り70ヤードぐらいのサードショットをきっちり乗せて、3オンのボギー。毎ホールこんな感じプレーしていて、気づくと大先生は「92」くらいで上がっており、危うく負けるところでした。

 何よりすごいのは、愚痴ひとつ言わず、己の飛距離と相談しながら、淡々と戦略的なゴルフを展開していったことです。歳をとったら、こうでありたい、という理想形ですよね。

 老化が進めば、筋力は衰え、体も硬くなっていきます。それは、仕方がないことです。そういう現実をしっかり受け入れられるかが、シニアゴルフの大事なポイントじゃないですか。

「昔は飛んでいた~」という方は、ゴルフに限らず、すべての生活に対しても同じようなことを言っていると思いますよ。

 ごはんを食べているときには「昔はおしんこと味噌汁だけで、茶碗3杯はいけた」とか言って、キャバクラに行った際には「昔は会ったその日に(目当ての女の子を)口説けた」とか言っているんですよ。

 人はそれを"ホラ話"とも言いますがね。

 昔自慢の人には悪いのですが、反面教師として、自分のゴルフに役立ててみたいと思います。

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