賞金女王イ・ボミが「ゴルフはもうやめる」と言って涙した日

  • 金明昱●文 text by Kim Myung-Wook
  • photo by Getty Images

女王イ・ボミ、栄光への軌跡(1)

 今季の日本女子ツアーは、まさに韓国人女子プロゴルファー、イ・ボミ(27歳)一色だった。世間的にも、「イボマー(イ・ボミファンのこと)」なる造語が生み出され、かつて韓流ブームの火付け役となった"ヨン様"ことペ・ヨンジュン並みの、韓国発の新たなムーブメントを日本で巻き起こした。

 何より、その成績が圧巻だった。今季最多の7勝を挙げて、初の賞金女王を獲得するとともに、平均ストローク1位(70.1914)、メルセデス最優秀選手賞と合わせて"三冠"を達成。しかも年間獲得賞金は、男女合わせて史上最高額となる、2億3049万7057円にも及んだ。

賞金女王、平均ストローク1位、メルセデス最優秀選手賞の3冠を手にしたイ・ボミ賞金女王、平均ストローク1位、メルセデス最優秀選手賞の3冠を手にしたイ・ボミ 結果を積み重ねることによって、人気はさらに急上昇。その愛らしい表情と、時に弾ける満面の笑みに、多くのファンが魅了された。そんな笑顔によって、彼女を取り巻く誰もが満たされるため、韓国では「スマイル・キャンディー」の愛称で親しまれていた。

 ただ日本では、その愛称はあまり定着しなかった。代わって、日本のファンから発せられたのは、「ボミちゃん!」のフレーズ。今季は、「ボミちゃん! がんばって!」という声援が、日本全国のトーナメント会場で響き渡っていた。

 韓国の「スマイル・キャンディー」から、日本の「ボミちゃん」へ――日本ツアー参戦5年目にして、イ・ボミは日本人のハートを完全につかんだ。

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