松山英樹が3度目のマスターズで初めて体験する「感情」とは (2ページ目)
振り返れば、松山は2011年にマスターズでローアマになったあと、翌年も挑戦したが、ローアマ獲得は叶わなかった(最終日に崩れて、アマチュア選手で2位。全体で54位タイに終わる)。そして昨年の大会は、前年のアジアアマ(2012年11月)で優勝を果たせず、出場権を得られなかった。その出場を逃したマスターズの開幕を前にして、松山はプロ宣言。それは、自分の当面の目標を「マスターズで勝つこと」として、戦う決意したからだろう。
そのマスターズにおいて、出場回数を重ねる選手ほど、期待と不安の振幅の波が大きくなるのは、オーガスタというコースが知れば知るほど難しくなることと、マスターズという怪物的な大会に対する"畏敬(いけい)の念"を抱くからだ。なおかつ、そこで「優勝する」という決意の強さがあるからである。
今回、3度目の出場となる松山も、オーガスタというコースをより深く知ることになる。そこで、いろいろなことがわかるから、自分も「やれる」という思いは当然生まれる。一方で、無我夢中で手探りでプレイしていたときと違って、コースの本当の"怖さ"を知ることにもなる。そのうえで、プロとして「勝ちたい」という思いが強くなればなるほど、期待は増すし、不安も膨らむ。その気持ちをどうコントロールしていくか、それが勝負の分かれ目となる。
さて、今年のマスターズは、タイガー・ウッズが欠場したことで、大波乱が起こりそうな気がする。なぜなら、主軸となる"ロールプレイヤー(ゲームを引っ張って、流れを作る選手。全体の目安となる選手)"がいないからだ。逆に言えば、誰が飛び出してゲームの前半を引っ張るかで、後半2日間の流れはガラッと変わるだろう。若い選手たちは、いち早く自分が主役に立って、そのまま走り抜こうするかもしれない。
そうした波乱の展開になれば、松山にも十分にチャンスがある。特に後半2日間に強い松山は、ダークホースとなりうると思う。
その松山のコンディションだが、練習ラウンドでは故障している左手首を気にしながら、相変わらず「まだ本調子ではない」と語っていた。こういうときの松山は、逆に要注意。もともと本番に強く、練習ではそこそこというのが、松山のゴルフだからだ。
プロ入りしてマスターズ優勝という夢を描いた松山は、はたしてどんな戦いを見せるのか。マスターズ72ホールの激戦から目が離せない。
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