未来のマスターズ優勝へ。ようやくスタートラインに立った石川遼 (3ページ目)
石川はまた、「これまで回っていたオーガスタとは、全然違うコース、雰囲気だった」と言った。そこが、成長の証でもある。
つまり、石川のゴルフの中に、ようやくマネジメントというカテゴリーが増えたのだ。大局的に攻め方が見えるようになって、それに対して必要なショットのファーストオピニオン(意見、見解)、セカンドオピニオンを、自分の中で確立できるようになった。その結果、攻めの幅とプレイの幅が広がり、コース内では過去とは違う景色が見えるようになったのだと思う。
野球のピッチャーに例えて言えば、ストレートでストライクばかりを取りにいくのではなく、変化球も使えるようになって、武器が増えた。なおかつ、時にはボール球を投げることの必要性を知り、どの球を投げるのがいちばん得策なのかを、考えられるようになったということだろう。
「ここにもう一度戻ってくるというのは、絶対に目指さなければいけないライン。そのうえで、優勝争いをするというところまでイメージして、また1年がんばりたい」と、コメントを締めくくった石川。これから求めていくものは、優勝したアダム・スコットのショットの精度、プレッシャーに負けないストローク。カブレラの冷静沈着で、物事に動じない精神力だろう。
最終日のふたりの熾烈な闘いから、石川が多くを学習して身につけたとき、いよいよ世界で戦える選手になるに違いない。
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