【ゴルフ】堂々たるプロデビュー。松山英樹が描く「石川遼越え」

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

プロデビュー戦で『大物感』を存分に漂わせた松山英樹。プロデビュー戦で『大物感』を存分に漂わせた松山英樹。 上々のデビュー戦だろう。先日、プロ転向を表明したばかりの松山英樹(東北福祉大4年)は、日本男子ツアー国内開幕戦、東建ホームメイトカップを通算2アンダー10位タイでフィニッシュした。

「良い感じで終われました。ギャラリーの声援で心地よくプレイできました。疲れもありません。賞金の使い道? 何も考えていません」

 初日から緊張した様子は一切見せず、4日間を通じて涼しい顔を貫いたが、ドライバーが左右に大きく曲がり、打った瞬間に両手を離すシーンも何度かあった。

「変なショットを打ちまくって恥ずかしい。これからはプロみたいなショット打ちたい(笑)」

 松山には珍しい、報道陣の笑いを誘う軽口こそ、充実した4日間の証だった。

 大会前、松山はプロとしての心得をこう話していた。
「特別な気持ちの高ぶりはないですね。アマチュア時代は、ひたすら優勝だけを目指していた。プロとなれば、一打の重みが変わってくるかもしれない。優勝のことだけを考えていたら、一打のミスが大ケガ(スコアを崩すこと)につながる。昨年の(出場権獲得にわずかに届かなかった)全英オープン予選や、(最終日に80を叩いた)昨年のマスターズで痛い目に遭いましたから。仕事として、お金を稼ぐことを考えたら、常に上位に顔を出すことが大事になると思います」

 プロ転向を決めたのは、昨年のマスターズが終わった直後だ。それから1年の日々を準備期間にあてた。食事とトレーニングの量を増やしてシーズンを戦い抜く体力をつけ、同時に、パッティングの練習に多くの時間を割いた。国内男子ツアーには6試合に出場し、一昨年に続く快挙(2011年、三井住友VISA太平洋マスターズで史上3人目のアマチュア優勝)こそなかったが、ダンロップフェニックスで2位に食い込むなど4大会でベスト10フィニッシュを果たす。

「パッティングはまだまだ試行錯誤が続いていますけど、『ミスを減らす』ことをテーマに掲げていましたから、その取り組みは間違っていなかったと思います。プロとなっても、まず予選落ちしないことを考えて、それを達成したらベスト10を狙っていくような戦い方を心掛けたい」

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