【男子ゴルフ】石川遼のマスターズ。ギリギリ予選突破でも確かな成長が見えた (3ページ目)

  • 三田村昌鳳●文 text by Mitamura Shoho
  • photo by Getty Images

 石川が言うとおり、2日目にうまくゲームを作れなかった原因は、パッティングにあった。予選突破への思いが強いがために、上向きなイメージよりも「丁寧に、大事に」という思いのほうが先行して、プレイが消極的になった。

「1番から『打てない、打てない』という感じで、ずっと(ラインの読みも)弱くて、薄めというパットが多かった。1番はスライスラインを右に外して、2番はフックラインを左に外した。自分が思ったタッチを出せないというのは、手がスムーズに動いていない証拠です。スコアを伸ばさなければいけないとは思うんですが、やはり2日目は、どうしても『スコアを落とさないように......』ということを最優先に考えてしまって......」

 スタート前には石川と1打差しかなかった、同組のブラント・スネデカーは4アンダー、ジャスティン・ローズは3アンダーとスコアを伸ばして、優勝争いに加わっている。その差も、石川はパッティングにあったと語る。

「(ふたりとの差は)パッティングの違いにあったと思います。僕もパッティングを強化テーマにして、この1カ月間はかなり練習してきましたけど、まだまだですね......」

 とはいえ、その問題の対処法を、石川は十分に心得ている。

「結局、(パッティングでは)素振りよりも、フォロースルーが小さくなってしまったことが問題だった。ヘッドを最後まで(前方に)出せなかったから、今日はミスパットが多かった。ヘッドを止めてしまうのは、悪い癖。素振りでもそうしているのならいいけど、違うストロークをしているのはよくない。(問題は)そこだけと思う。素振りと同じようにできるようにしないといけない」

 ギリギリとはいえ、見事に決勝ラウンドに進むことができた石川。まずは、その課題をきちんと修正していくことが大事だ。

 そして、最も重要なことは「トップから10ストローク差なら予選を通過させる」という条件がなぜあるのか、改めて認識することだろう。その差なら、2日間で逆転のチャンスが限りなくある、ということを忘れてはいけない。石川には、その意味をしっかりと噛み締めて、決勝ラウンドに臨んでほしい。

 あとは、最終日の9ホールでどこまで踏ん張れるかが、石川にとっては大きなテーマになる。ギリギリの予選突破だからといって、試合を投げてしまったら、そこで終わり。負け癖がついて、いつまで経っても上位進出など望めない。

 それを繰り返さないためにも、最終日の残り9ホールまで「上位に進出するぞ!」という強い志を持ってプレイしてほしい。その結果、最終的に上位に名を連ねることができれば、次につながっていく。

 最終日、最後の9ホール。今回の石川の真価は、そこで問われると思う。

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