【女子ゴルフ】斉藤愛璃「優勝した時は『自分ってすごい!』と思ったけど...」

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • 小内慎司●撮影 photo by Kouchi Shinji

  U-23美人系(2)
斉藤愛璃インタビュー

 女子ゴルフの国内メジャー初戦、ワールドレディスサロンパスカップのプロアマトーナメント開催日。雨脚が強くなった夕刻になり、斉藤愛璃はゴルフバッグを自ら担いで練習場に行き、誰もいない中で黙々とショットを打ち続けていた。

「帯同キャディーさんがいないときは、いつも私、ひとりで練習しているんです」

 斉藤は高校時代、私立高校に比べて決して恵まれた環境とはいえない神奈川県立厚木北高校でゴルフに励み、卒業後は、昨年3度目の挑戦でプロテストに合格するまで、程ケ谷カントリー倶楽部の研修生として過ごした。日中はキャディーとしてアマチュアゴルファーのラウンドに18ホール付き添い、自身の練習はいつも夕刻になってから。高校時代も研修生時代も、やはりゴルフバックを自分で担いでラウンドしていた。

「プロテストに合格するまでが本当に苦しかった。その経験があるからこそ、開幕戦でプレイオフにもつれても、冷静でいられたし、笑顔でいられた。やっぱり程ケ谷での経験が私を成長させてくれたと思います」

 開幕戦ダイキンオーキッドレディスでいきなり優勝を遂げ、美貌と愛らしい笑顔で、一躍女子ゴルフ界のヒロインとなった。しかしその後は、予選落ちする試合が多く、賞金を手にしたのは2戦(西陣レディスクラシック=53位タイ、フジサンケイレディスクラシック=44位タイ)しかない。日も暮れかかった時間帯に、まるで人目を避けるように練習に向かう姿を見て、彼女は研修生時代に回帰しようとしているように映った。

 第3戦Tポイントレディスで予選落ちした日、斉藤はこう話していた。
「開幕戦は運も味方して、すべてがうまくいった。優勝したことによって、人生が変わりました。今は、ものすごく注目を集める中で、期待に応えなきゃ、結果を残さなきゃという自分がどうしてもいる。そういう焦りがこの結果になっているのかな」

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