【男子ゴルフ】
石川遼、迷わず行け。アメリカ本格挑戦の機は熟している!

  • 三田村昌鳳●文 text by Mitamura Shoho
  • photo by Getty Images

今季は年明けから米ツアーに参戦してきた石川遼。注目のマスターズもまもなく開幕する(4月5日~4月8日/オーガスタ)。今季は年明けから米ツアーに参戦してきた石川遼。注目のマスターズもまもなく開幕する(4月5日~4月8日/オーガスタ)。世界のフィールドは
日本とはまったく違う

 米ツアーのプエルトリコオープンで2位という好成績をおさめた石川遼。獲得賞金が昨季の賞金ランキング150位の金額を上回り、今季の米ツアーには無制限で推薦出場できる『特別一時会員』の資格を取得した。アーノルド・パーマー招待の開幕前には、来季の米ツアーのシード権獲得にも意欲を見せた。

 石川自身、本格参戦については明言していないようだが、迷うことなくアメリカを主戦場にすべきだと思う。「20歳でマスターズ優勝」という目標を掲げていた彼にとって、自らの戦いの舞台として想定しているのは、明らかに"世界"。マスターズ優勝を考えるならば、一刻も早くアメリカでプレイしたほうがいい。正直言えば、今季からでも米ツアーに重きを置いたほうがいいとさえ思っている。

 なぜなら、世界と日本とでは、そのフィールド、つまりコースの質に大きな差があるからだ。

 まず、距離が違う。例えばミドルホールのセカンドで、日本の場合はほとんどショートアイアンで事足りるが、アメリカではミドルアイアン、ときにはロングアインを使用しなければいけない。それでいて、グリーンに止める技術も必要になる。しかも、日本では2グリーンのコースが多いためにグリーン周りが広く、ミスしても大けがすることはないが、アメリカではグリーンに向かうほどコースが狭くなっており、グリーンを外せば致命的なミスにつながる。そこで感じるプレッシャーは相当なもので、その状況、感覚は日本ではそうそう経験できない。

 そして、最大の違いは芝。グリーンの速さとラフの深さに関しては、日本とアメリカでは歴然とした差がある。日本のコースで、いくらラフを伸ばして、グリーンを速くしたとしても、世界と同じフィールドは再現できないし、そのスケールはまったく異なる。

 おまけに、アメリカにはいろんな芝の種類があって、西海岸と東海岸では芝質がまるで違う。東海岸のコースでは、フェアウェーでもボールが沈むところがある。もしボールの3分の1でも沈んでしまったら、クラブフェースとボールの間に芝がかんでしまうため、フェアウェーが基本的に固い日本の打ち方とはまったく違う打ち方をしなくてはいけない。日本で育ち、固いフェアウェーに慣れてしまった選手では、おそらく対処できないだろう。

 そうした環境の中で、勝利を手にするには、ショットの質と精度においてかなり高いものが要求される。技術の量も豊富に持っていなければならないし、異なる芝の質によって違う打ち方ができなければいけない。

 例えば、アプローチ。速いグリーン、長いラフだけでなく、アメリカではフェアウェーやグリーンのアンジュレーションが強烈。そうした厳しい状況に対応できる、多彩なショットが必要になる。その技術を身につけ、磨いていくには、芝の種類からして違う日本のコースでいくら打っても意味がないだろう。やはりアメリカの芝で、それもグリーンを外せばすぐに長いラフが待ち受ける厳しいコースで打ち続けていくしかない。

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