【ゴルフ】飛躍・鈴木愛には「一家の生活がかかっていた」

  • 古屋雅章●文 text by Furuya Masaaki
  • 小内慎司●撮影 photo by Kouchi Shinji

 今季の女子ゴルフ界で、シーズン途中から一躍ブレイクした選手と言えば、鈴木愛(20歳)だろう。

 昨年、プロテストを合格したばかりで、今年8月まではほぼ無名の存在だった。それが、日本女子プロ選手権(9月11日~14日/兵庫県)で、申ジエや成田美寿々ら、賞金ランク上位の実力者を相手に粘り勝ち。ツアー初優勝がメジャー大会ということも相まって、その名を一気に知らしめた。

 しかも、20歳と128日で優勝した鈴木は、2006年大会で宮里藍が打ち立てた21歳83日という大会最年少優勝記録を塗り替えた。そうした記録というのは、人生において一度しか巡ってこないチャンス。それをモノにできるかどうかは、その後の人生にも大きな影響を及ぼすことがある。そういう意味では、鈴木はゴルフ人生において、最高のスタートを切ったと言ってもいい。

女子プロ選手権を制して、時の人となった鈴木愛。女子プロ選手権を制して、時の人となった鈴木愛。 それにしてもなぜ、実質プロ初年度で、レギュラーツアーでもほとんど実績がなかった鈴木が、いきなりメジャータイトルを手にすることができたのか。

 技術的なポイントを挙げれば、中・高校時代から取り組んできた筋力トレーニングの成果があるという、その飛距離だ。身長155cmと小柄ながら、平均240ヤードのドライバーショットを繰り出す。日本の女子ツアーの中では十分に"飛ばし屋"の部類に入り、全長6600ヤードを超えるメジャー大会のセッティングも苦にしなかった。

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