【ゴルフ】飛躍・鈴木愛には「一家の生活がかかっていた」 (4ページ目)

  • 古屋雅章●文 text by Furuya Masaaki
  • 小内慎司●撮影 photo by Kouchi Shinji

 実際、鈴木家には愛を含めて男女4人の子どもがいて、そのうち3人がプロを目指してゴルフをやってきた。その分、「相当なお金がかかった」と、鈴木の母親である美江さんは言う。

「これまで(子どもたちには)、家が一軒建つくらいのお金をかけています。だから、『中途半端で終わってしまっては困る』ということを、愛にはわかってほしかったんです。愛にはプレッシャーになったかもしれないけど、それもはねのけるぐらい、がんばってほしかった」

 そうした環境の中で育った鈴木は、横峯と同様、物事にあまり動じないメンタルが備わった。周囲から「変則的なスウィング」と言われようと意に介さず、わが道を行くスタイルも同じだ。そして、最たるものは、ふたりとも普段はおっとりしていながら、勝負事になると極めて貪欲な姿勢を見せることだ。

 横峯はプロになりたての頃、「ゴルフは自分にとって仕事。お金を稼ぐ手段です」と言っていた。鈴木も、「ゴルフを始めた頃は、ずっと続けるつもりはなかったんですが、プロになってからは、(自分が)がんばった分だけ賞金が入ってくるので、今は楽しくできています」と語る。

 鈴木のゴルフ人生は始まったばかりだが、プロとしての資質は高い。横峯さくらのように賞金女王になることも、夢ではないだろう。

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