【ワールドカップ】モロッコは敗れても強豪国の仲間入りか フランス相手にもパスワークで前進できる理由 (2ページ目)
【かつてのトータルフットボールに酷似】
モロッコは戦術的にユニークだ。今大会のモロッコから想起されるのは1974年W杯のオランダ。「トータルフットボール」と呼ばれた伝説的なチームだ。
1974年のオランダは、プレッシングとポゼッションの両面で現代サッカーの源泉であり、全くその影響のないチームはないと言っていいが、機能性において今大会のモロッコは最も近かったのではないかと思う。
1974年大会のオランダはトータルフットボールと呼ばれたとおり、全員攻撃・全員守備型のサッカーを展開していた。ポジション流動性の高さが特徴で、モロッコもまさにそうだった。
流動性のトリガーになっているのがセンターフォワード(CF)のイスマエル・サイバリ、トップ下のアゼディン・ウナヒ、キャプテンで右サイドバック(SB)のアクラフ・ハキミ。サイバリはトップに張るタイプではなく、もともとMFでプレーしてきた「偽9番」である。ウナヒも前回大会では4-3-3のインサイドハーフでプレーしていて、選手間の隙間に入り込んでパスワークを接続する。ハキミは異常に稼働範囲の広いSB。守備はもちろん、組み立てからフィニッシュに至るまで関与する。
攻め込んだ際、中央に人がいない。CFサイバリは「偽」なので主にインサイドハーフの場所にいて、右サイドハーフ(SH)のブライム・ディアスも右のハーフスペースへ。右外にはハキミが上がっていく。左SHのエル・カヌースもタッチライン沿いにいるとは限らず、ウナヒはどこにいるかわからない。
サッカーの得点の8割はペナルティエリア中央部分から生まれるので、守備側は絶対にこのスペースを空けずに、必ずDFを配置する。すると、モロッコに攻撃されている最中は、ふたり以上のDFが誰もいないスペースを守っている状況になっている。守備側が空白の中央部に人を置いているので、そのぶんモロッコは周辺部では数的優位になる。中央部から少しそれた左右に人数を投入するモロッコはコンビネーションでそこを破り、最終的に誰かが中央へ入っていく。
中央のフィニッシャーを固定しないアプローチは、ヨハン・クライフが偽9番だった1974年のオランダのやり方と酷似していた。
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