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サッカー日本代表にとって教科書となるチームも チャンピオンズリーグ上位陣の戦いを振り返る (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【健闘したボデ・グリムト、スポルティング】

 ワールドカップもそうだが、勝者に輝くのはわずか1チームにすぎない。他のチームはすべて敗者だ。いずれ敗れる。そのチームの印象はそこで決まる。つまりバイエルンは、"敗れ方コンテスト"で言えばチャンピオンになる。この手のチームは次回、必ず活躍する。食指を動かしたくなるチームなのである。

 同様に、準決勝でアーセナルに合計スコア1-2で敗れた、ディエゴ・シメオネ率いるアトレティコ・マドリードも、特筆に値する美しい負け方だった。総合力で劣るチームが、格上相手にどう戦うべきか。ワールドカップに臨む日本のような立ち位置のチームには、最高の教科書と言いたくなるようなサッカーをした。

 目をこらすべきはボールの奪い方だ。そのベースとなっているのが、マイボールになっても喜ぶことなく、相手ボールになっても落胆することなく、常にフラットな姿勢でボールに向き合おうとする精神である。

「集中!」とはサッカーでよく使われる掛け声だが、具体的には何に集中すればいいのか。いまひとつ鮮明ではないその答えを、アトレティコのサッカーは教えてくれた。ボールの動き、進む方向に最大限の注意を払いながらポジションを取ることが、アトレティコの選手は秀逸だった。そのビビッドさでアーセナルを上回ったことが、接戦に持ち込めた理由だ。その統率の取れた集団的な動きは頭脳的で、ある意味で芸術的でさえあった。

 3月に行なわれたイングランド戦で、後ろに下がり、半分クリンチで逃げようとした日本代表とはえらい違いだった。アトレティコの選手は高い位置で絶えず狙っていた。奪えば即チャンスにつながることがわかっているので、その足はよく動いた。ボール支配率は第1戦が49%対51%。第2戦が46%対54%。イングランドに34%対66%の関係を強いられた日本代表とは、サッカーが根本的に違っていた。勝ったのは日本だが、次戦に期待が持てそうなのはアトレティコのほうになる。

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