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グアルディオラ監督が10シーズンをもってマンチェスター・シティの監督を退任。その計り知れない影響力がもたらしたものとは? (3ページ目)

  • ジョン・ブルーウィン●文 text by John Brewin 井川洋一●翻訳・構成 translation by Yoichi Igawa

【考えすぎて、突飛な選択をしたことも】

 イングランドにそれほど大きな影響を与えたグアルディオラだが、イングランドのリーグ史上最高の監督に推す声は、意外と大きくない。彼が史上最高の監督と認めるファーガソンや、食事やリカバリーなどに変革を起こしたベンゲルとは異なり、グアルディオラは自らの力で一時代を築いたわけではない。特にファーガソンは自身が育てた多くの選手を超一流にし、彼らをチームの中心に据えたが、グアルディオラ監督にはアブダビの王朝がすべてを供給した。無限の資源があったからこそ、マンチェスターに水色の王朝が築かれたと考え、グアルディオラをベストと見做さない人は少なからずいるのだ。

 いずれにせよ、グアルディオラというフットボールに取り憑かれた異能は、頭の先からつま先まで24時間365日、この競技に完全に没頭し、努力し続けた。それだけは間違いない。選手に多くを要求するぶん、自らにも重圧を課す。考えすぎて突飛な選択をし、うまくいかなかったこともある──ダイヤモンド型の中盤の4-4-2で、アンカーにロドリではなくイルカイ・ギュンドアンを起用し、チェルシーに0-1で敗れた2021年CL決勝など。ただし、そうした失敗のすべてを自らの血肉とし、その2年後に欧州の頂点に立っている。向上心と負けず嫌いは、勝負に身を置く者に必要なものだが、彼ほど苛烈にそれらを備えている人はそうはいない。

 最後の2シーズン(それはクロップがリバプールの監督を退任したあとの2年間だ)、グアルディオラ監督は国内カップしか獲得できなかった。クロップが「この仕事をずっとやり続けることは不可能だ」と言ったように、グアルディオラも「本当に、私は疲れてしまったんだ」と吐露した。これが限界だったのだろう。そして彼の影響力が薄れている時期でもある。

 それでもグアルディオラが残したレガシーはイングランドに生き続ける。今季のプレミアリーグを制したアーセナルのミケル・アルテタも、シティの次期監督と目されるエンゾ・マレスカも、過去にシティでグアルディオラの参謀を務めていた。これからもイングランドでは、より戦術的で、よりポゼッションを重視し、よりテクニカルなフットボールが、繰り広げられていくに違いない。

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