【プレミアリーグ】マンチェスター・シティのシェルキは両利きプレーで未知の領域へ 歴代のスーパースターを超える存在になるか (3ページ目)
【未知の領域】
利き手、利き足、利き目がある。
多くは利き手、利き足、利き目はすべて右だが、利き足が右で利き目が左というケースも約30%あるそうだ。利き目が左の場合、空間認知の中心は左側にある。距離感や角度、ボールの軌道、相手との間合いは左側のほうがより鮮明に見える。
利き手、利き足、利き目がすべて左の完全な左利きは人口の約2%しかいない。完全右利きは最も多いが、混在型もけっこう多いそうだ。利き手は右、利き足が左、利き目は右というようなケースはスポーツ選手に多いという。
ではシェルキはどうか。どちらが利き足かわからない。利き手に関しても腕の使い方からして両手利きの可能性が高いように見える。さらに最も重要な点なのだが、空間認知でも偏りがないように見える。そうだとすると、完全な両利きでありOSが左右対称であることを意味する。
例えば、ギターやバイオリンは左手で弦を抑えて右手で弾く。左利き用に変えても左右の手の役割が逆になるだけで型は固定される。一方、ピアノはどちらの手でも旋律、伴奏を弾くケースがあって左右の役割の入れ替えが起こる。
利き足と利き目に偏りがない場合、どちらも軸足、操作足になりうるわけで、身体操作的にも認知の点でもOSは左右対称となり、ピアニストに近い感覚と思われる。
Ambidextrous(両利き)は左利きより希少で1%もいない。ベートーヴェンとモーツァルトの両利きはピアノ弾きなのでいかにもだが、アルバート・アインシュタイン、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ニコラ・テスラとくるとただ者ではない気がしてくる。ジミ・ヘンドリックスは右利き用のギターを左手で弾いていたという。
サッカーで両足を使える選手は珍しくないが、完全に両利きとなるとデンベレやシェルキが初のケースかもしれない。これまでOSは右または左に偏っていた。右利き用、左利き用のプレーをしていた。認知的にも左右対称の選手に何ができるのか、おそらくはっきりわかっている人はいないのではないか。
シェルキが底知れないのはストリート系の創造性だけでなく、新たな領域の境界にいる存在だからだ。
著者プロフィール
西部謙司 (にしべ・けんじ)
1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。
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