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サッカー日本代表がW杯でモロッコと対戦したら......警戒すべきは中盤にいる「プレス回避の達人」 (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji

【プレッシングvsウナヒ】

 カタールW杯でモロッコと対戦したスペインのルイス・エンリケ監督は、「8番には驚かされた。とてもいいプレーをしていた」と絶賛。ジョゼ・モウリーニョ監督も「モロッコの8番、アンジェでプレーしている、ウナヒ? 彼は特別だ」とコメントしている。

 モロッコ代表の8番、ウナヒは当時22歳、フランスリーグのアンジェでプロデビューして1シーズンを経過していた頃である。世界的には全く無名だった。

 日本代表監督だったヴァイッド・ハリルホジッチ監督がモロッコを率いていた時に抜擢した。その後、ハリルホジッチ監督は協会と揉めて退任、レグラギ監督に代わったがウナヒはカタールW杯メンバー入りし、本大会では主力として活躍した。

 182センチの長身だが、体重は62キロと細身。巧みなボールキープとドリブルはウナヒの特徴だが、そのために対戦相手から標的にされ、「毎試合、足首やヒザを蹴られていた」と本人が話している。それで意識的にデュエルを回避するようになった。しかし、コンタクトを避けているからといって闘えないわけではない。ウナヒはボールを奪うのもうまい。

 セルヒオ・ブスケツ(元スペイン代表)を速くしたようなプレースタイルと言えるかもしれない。相手の重心を見て逆をつき、巧みなステップとボール操作、スプリント能力でタックルをすり抜ける。守備では長い足と瞬間的な速さを生かしてボールを奪う。どちらも予測が優れている。

 1試合で12~13キロに及ぶ走行距離。スタミナも十分。密集を抜け出すテクニック、正確なパス、ミドルシュートの威力もある。モロッコ代表では主に右のインサイドハーフとしてプレーしている。

 日本がもしモロッコと対戦したら、日本の武器であるプレッシングとウナヒの攻防は試合を左右するポイントになるかもしれない。

 日本のマンツーマンのプレッシングがウナヒをとらえられるかどうか。フィールド中央でウナヒからボールを奪えればショートカウンターの大きなチャンスになるだろう。一方、ウナヒにかわされれば日本は一転して後退を余儀なくされてピンチになる。マンマークのハイプレスは1対1がどうなるかでチャンスにもピンチにもなり、北アフリカ特有のテクニックを封じられるかどうかが問われる。なかでもキープ力、推進力、展開力に優れたウナヒを抑えられるかどうか。

 日本代表選手の多くが欧州でプレーしていて、さまざまなタイプと対戦しているが、リーチがあって軽快に動くウナヒのような選手はあまり多くない。往年のラモス瑠偉とも似ているMFとの対決は見物だ。

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