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プレミアリーグのチェルシーに世界最高の守備的MF カイセドはデュエルでゲームを支配する (3ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji

【守備でゲームを支配する】

 カイセドはグアルディオラやピルロのタイプではなく、モデルになるのはエンゴロ・カンテやクロード・マケレレである。あるいはミランでMFとしてプレーしたマルセル・デサイーと似ているかもしれない。

 相手の懐に入る守備ができる。ボールに足が届くところまで寄せきる力がある。

 チェルシーはエンソ、ジェームズ、カイセドのMFが相手MFをマンツーマンでマークする。ハイプレスの時はもちろんだが、ミドルゾーンにブロックを構える守備でも早めに相手を捕まえてしまう。この強度の高い守備が可能なのは3人の1対1で奪う能力が高いからだ。マンツーマンはひとり外されれば崩れていく。1対1の守備力が肝で、カイセドはとくにその能力が高い。

 1994年のCL決勝で絶頂期のバルセロナと対戦したミランは4-0と予想外の大差で圧勝した。グアルディオラが司るバルセロナのパスワークを破壊したのがデサイーだった。試合前、「攻撃か守備か。テクニックかフィジカルか。今後のサッカーを決める試合」と、クライフ監督は挑発的に語っていたが、結果は守備とフィジカルの勝利だったわけだ。

 現在の欧州トップクラスのチームは攻撃も守備も、テクニックもフィジカルも優れているが、そのなかにも濃淡はある。

 守備とフィジカルに強みのあるチェルシーはビッグクラブのスタンダードの片端にいるチームで、その核になっているのがカイセドなのだ。

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