【欧州サッカー】マンU史上最高のGKは誰か? ファン・デル・サールにあってシュマイケルにないもの (3ページ目)
【CL決勝で守護神が珍しく咆哮】
ファン・デル・サールがやって来た2005年のマンチェスター・Uは、深刻すぎるGK人材難に陥っていた。1999年にピーター・シュマイケルがスポルティングへ移籍したあと、GKのレベル低下があきれるほどに進んでいく。
レイモント・ファン・デル・ホーブ(1996年〜2002年)、マーク・ボスニッチ(1989年〜1991年、1999年〜2001年)、ファビアン・バルテズ(2000年〜2004年)、ティム・ハワード(2003年〜2007年)、ベン・フォスター(2005年〜2010年)、トマシュ・クシュチャク(2006年〜2012年)......。スリリングなプレーに胸が痛くなった記憶がある。
マッシモ・タイービ(1999年〜2000年)は正面に飛んできたシュートをトンネルし、ロイ・キャロル(2001年〜2005年)はゴールに向かってファンブルする(VARのない時代ゆえにノーゴール)......嗚呼、なんてヤツらだ。
マンチェスター・Uともあろう名門クラブが、よくもここまで下手を打ったものだ。ファーガソンの類稀(たぐいまれ)なマネージメントにより、シュマイケル退団後の6年間でプレミアリーグを3回制しているものの、GKの力不足は誰の目にも明らかだった。
この不安をファン・デル・サールが一掃する。2005-06シーズンこそ2位に甘んじたが、翌シーズンからプレミアリーグ3連覇。2008-09シーズンの14試合連続無失点、クリーンシート21は依然として破られていない大記録だ。そしてヨーロッパ制覇に貢献する。
2007-08シーズンのチャンピオンズリーグ、チェルシーとの決勝はPK戦に持ち込まれた。クリスティアーノ・ロナウドとジョン・テリーが失敗するなど、やはり大舞台は特異な緊張感に苛(さいな)まれる。
だが、ファン・デル・サールからは気負いが感じられない。ニコラ・アネルカのキックに対し、素早く右に飛んでファインセーブ。喜怒哀楽を表に出さない「守護神」が珍しく咆哮した。
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