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【欧州サッカー】シメオネ、コンセイソン、レドンド──次々に台頭するレジェンドの息子たち (3ページ目)

  • 吉田治良●文 text by Yoshida Jiro

【イタリア史上初となる3世代にわたって代表選手を輩出した家族】

 そしてこの夏、1500万ユーロ(約25億円)の移籍金で5年ぶりに古巣へ復帰。遠回りはしたが、再び偉大な父が名を揚げたオランダきっての強豪クラブでプレーするチャンスを掴み取っている。ただ、CLのウニオンSG戦から4日後のアヤックス戦で膝にシーズン絶望の重傷を負ってしまう。公式戦8試合で4ゴールという最高のスタートを切っていただけに、なおさらショックは大きいだろう。

 それでも、2004年生まれのまだ21歳である。父親譲りのタフなメンタリティも持ち合わせた彼なら、この二度目の遠回りでさらに逞しさを増して、ピッチに戻ってくるに違いない。

 サッカー一家で育ったサラブレッドで言えば、祖父がチェーザレ・マルディーニ、父がパオロ・マルディーニというアタランタのダニエル・マルディーニ(2001年生まれ)も忘れてはならない。名DFとして知られる2人のレジェンドとは違い、攻撃的MFとしてプレーするダニエルは昨年10月にイタリア代表デビュー。3世代にわたって「マルディーニ」の名がアズーリの歴史に刻まれている。BBCによると、イタリア代表史上初だという。

 ほかにも、かつてレアル・マドリーの中盤を支えた"貴公子"フェルナンド・レドンドを父に持ち、今シーズンからラ・リーガのエルチェに加わったフェデリコ・レドンド(2003年生まれ/MF)、マンチェスター・シティでトップデビューの時を待つ、元イングランド代表FWエミール・ヘスキーの息子リーガン・ヘスキー(2008年生まれ/FW)、オランダ代表の歴代最多得点記録の保持者、ロビン・ファン・ペルシの息子で、現在はその父がトップチームの監督を務めるフェイエノールトのU-21チームで昇格のチャンスを窺うシャキール・ファン・ペルシ(2006年生まれ/FW)など、これからが楽しみな2世フットボーラーは少なくない。

 彼らがクラブのレジェンドであり、祖国の英雄でもある偉大な父に追いつき、そして追い越せるか。やはりそれは、二世として生まれてきた自らの宿命を受け入れ、色眼鏡で見てくる周囲の視線を悠然とはね返せるだけの、強靭なメンタリティを持てるかどうかにかかっている。

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