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【欧州サッカー】シメオネ、コンセイソン、レドンド──次々に台頭するレジェンドの息子たち (2ページ目)

  • 吉田治良●文 text by Yoshida Jiro

【名門で独り立ちしたフランシスコ・コンセイソン】

 ジュリアーノ・シメオネと同じ2002年生まれで、同じくサッカー一家に育ったフランシスコ・コンセイソンもまた、元ポルトガル代表MFの父セルヒオ・コンセイソンが監督を務めるFCポルトでプロキャリアをスタートし、いわゆる"親子鷹"としてポテンシャルを開花させた二世フットボーラーだ。

 ちなみにシメオネとコンセイソンの父親同士はラツィオ時代のチームメイトで、99-00シーズンのセリエA制覇をともに経験した間柄である。

 利き足は左で父とは異なるフランシスコだが、同じ右サイドを主戦場とする小気味のいいウインガーである点に血筋を感じる。父親よりも身長は6㎝ほど低いが(170㎝)、フィジカルのハンデを感じさせず、切れ味鋭いカットインから強烈なミドルを打ち込む。

 2023-24シーズンをもって、父が7年指揮を執ったポルトの監督を辞任すると、フランシスコもユベントスにレンタル移籍。加入1年目は怪我もあったが、インテルを相手に決勝ゴールを奪うなど存在感を示し、この夏におよそ53億円でイタリアの名門に買い取られている。父の庇護を離れ、今まさに独り立ちのときを迎えたと言っていい。

 マルキュス・テュラム、ジョーダン・ラーション、ティモシー・ウェアとともに、今シーズンのCL初戦でゴールを奪ったのが、PSVのルベン・ファン・ボンメルだ。チームはベルギー王者のウニオンSGに1-3で敗れたが、左サイドから再三ダイナミックな突破を図り、終了間際には意地の一撃を見舞っている。

 父親はPSVで数々のタイトルを勝ち取り、その後バルセロナ、バイエルン、ミランという欧州屈指のビッグクラブでも活躍した元オランダ代表のMF、マルク・ファン・ボンメル。さらに母方の祖父が、10年の南アフリカW杯で監督としてオランダ代表を準優勝に導いたベルト・ファン・マルバイクという良血だ。スピードとパワーを兼備したそのプレースタイルは、現役時代はウイングとして鳴らした祖父譲りだろう。

 父と同じくPSVのスターになることを夢見てユースチームに加わったルベンだが、19年12月にトップチームの監督を務めていた父が成績不振で解任されると、その煽りを食うように彼もまたPSVとの別れを余儀なくされる。それでも、プレッシャーの少ない2部MVVのユースに移籍してフットボーラーとしての土台を築くと、トップデビューを飾った22-23シーズンに31試合・15得点。翌シーズンには強豪AZに引き抜かれるのだ。

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