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【欧州サッカー】モナコに「あの男」が帰ってきた 南野拓実とポール・ポグパとの共演に注目 (3ページ目)

  • 粕谷秀樹●取材・文 text by Kasuya Hideki

【ポグバは南野に一目置いている】

 2024年、ドーピング検査で陽性反応。4年間の出場停止処分が科された。その後、医師から処方されたサプリのなかに微量の禁止薬物が含まれていた──いわゆる誤接種であることが判明し、ポグバに対するペナルティは1年半に軽減されたが、すでにユベントスを解雇されており、彼のキャリアは終わったとも考えられていた。

 しかし、捨てる神あれば拾う神あり。

 今年6月、モナコと契約した際、ポグバは記者会見で落涙した。不遜な態度が何かにつけて物議をかもしてきた男は、32歳になって人の温かさがあらためて身に染みたのだろう。終わったはずのキャリアが新章を迎えたのだ。意気に感じないはずがない。人々のサポートで心が清められたポグバは数段バージョンアップして、再びピッチに立つ時を待っている。

 現在、ポグバは急ピッチでコンディションを仕上げているという。ただ、個別練習を経て全体練習に加わったとはいえ、まだ実戦に戻れる状態ではない。チアゴ・スクーロCEOによると、「復帰は9月下旬を予定している」。その大舞台は10月1日のマンチェスター・C戦か、あるいは10月23日のスパーズ戦か。

 ここから、南野との共演が始まる。

 ポグバが配したラインブレイクのパスに、南野がすぐさま反応する。南野が作ったスペースにポグバが現れ、GKを嘲笑うかのようなループシュートを決める。フランスの天才MFが持つ戦術眼は誰もが認める世界基準だ。南野はオフ・ザ・ボールの動きに優れ、献身的なプレスにも定評がある。彼らは心地よいリズムを奏でられるはずだ。そして......。

「タクミは誰よりも早くトレーニング場にやってきて、最後まで残っている。彼のようにストイックで、しかも楽しそうにフットボールと接する選手は初めて見た。見習わなくてはならない」

「タクミのプレーを見ていると、常に考えながらプレーしていることが手に取るようにわかる。実にスマートで、フットボールを深く理解しているからこその動きだ」

 ポグバは南野に一目置いている。こうした感情はチームにプラスの要素をもたらし、すべてが円滑に動いていく。

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