久保建英、古巣レアル・マドリード戦は試練の場に 今季0勝レアル・ソシエダの現状は? (2ページ目)
【"戦術"として久保の名前を利用】
しかし、90%以上が限りなく根拠がない噂話で、残りもやり取りはあっても、人物照会レベル。多くのネタ元になったスペイン国内サイトは、著しく信用度が低いものだった。話題稼ぎの虚構をニュースでばらまく、という繰り返しだった。
久保サイドとして、移籍の話を進めていた形跡は確かに見られる。しかし、ラ・レアルは2029年6月末までの契約を盾に、6000万ユーロ(約100億円)という移籍違約金をビタ一文まける気はなかった(元の所有権を持つレアル・マドリードとの取り決めで、半分がレアル・マドリードに流れてしまう。つまり実質的に3000万ユーロ以下で久保を手放す理由はなかった)。こうした大型移籍が成立するのはビッグクラブが本腰を入れたときだけで、少なくともリーグ開幕までには決まるものだ。
結局、多くのクラブがマーケティング戦術として久保を使っていた。同じポジション、タイプの選手を獲得するのに、その名前を使っていたのである。最たる例が、アトレティコだろう。
「ディエゴ・シメオネ監督が久保にラブコール」
移籍の噂がまことしやかに報じられたが、確定する気配は当初から微塵もなかった。この話は珍しく大手スポーツ紙も報じたが、アトレティコの番記者サイドからの記事で、ラ・レアルの番記者サイドは相当に遅れて小さく報じただけだった。最初から金額は折り合わず、他のアタッカーの獲得条件を吊り下げる戦術に変化していた(結局、アトレティコは移籍期限ぎりぎりでユベントスのアルゼンチン代表アタッカー、ニコ・ゴンサレスを獲得した)。
日本国内でも、特にウェブで「久保は○○へ移籍?」というニュースが飛び交ったが、ほとんど中身がなく、ないからこそ、バブルのように膨れ上がっていった。そうした気配は、選手本人にとっても有益ではない。チームメイトや周囲もこうした浮ついた話を耳にすると、ざわざわとした感じが消えないのだ。
久保はこうした喧騒を乗り越えるだけの力量とパーソナリティを持っている。しかし繰り返すが、移籍話が連日のように報じられるのは百害あって一利なし。情報ソースは疑うべきだ。
2 / 3

