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三笘薫の次節マンチェスター・シティ戦は今季の試金石に 縦への突破に何度トライするか

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

 プレミアリーグ第3節、三笘薫所属のブライトンはホームにマンチェスター・シティを迎える。開幕戦でフラムに1-1で引き分け、第2戦でエバートンに0-2で敗れたブライトン。順位にすると18位だ。2試合を終えた段階で結論を導き出すのは時期尚早とはいえ、チームに勢いが感じられないことは確かである。

 2試合でスタメンを飾った新戦力は、ミランへ移籍した左SBペルビス・エストゥピニャン(エクアドル代表)の代わりに取ったマキシム・デ・カイパー(ベルギー代表)のみ。空前の活況を呈すプレミアにあっては、あまりにも控え目だ。現状ではチェルシーへ移籍したエース格、ジョアン・ペドロ(ブラジル代表)の穴を埋めることができていない。

 サッカーそのものも地味になった。ブライトンの自慢は、マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ監督も舌を巻く、コテコテのパスサッカーだった。2022-23シーズンにロベルト・デ・ゼルビ監督が就任すると、攻撃的サッカーに拍車が掛かり、より革新的になった。そのタイミングで三笘が合流。デ・ゼルビ・サッカーを象徴する顔として活躍した。

 そのデ・ゼルビが去ったのが昨季で、後任にはファビアン・ヒュルツェラー監督が座った。成績こそ過去2シーズンと遜色ない8位(2022-23シーズン6位、2023-24シーズン11位)で終えたが、画期的度は薄れた。

 三笘の活躍度もデ・ゼルビ時代を10とすれば8.5~9といった印象で、わずかにダウンした。少々勢いを落とした状態で今季を迎えることになった。

0-2で敗れたエバートン戦にフル出場した三笘薫(ブライトン) photo by REX/AFLO0-2で敗れたエバートン戦にフル出場した三笘薫(ブライトン) photo by REX/AFLO 開幕2試合を見る限り、その流れを変えることはできていない。フラム戦のデキは5.5をつけるのが精一杯と記したが、エバートン戦も大差はなかった。

 最大の見せ場が訪れたのは前半18分。GKバルト・フェルブルッヘン(オランダ代表)のロングフィードを、エバートンのCBジェームス・ターコウスキー(元イングランド代表)が後逸。その間隙を突いて放った浮き球シュートである。鋭い右足キックはバーを直撃。惜しいシーンとなったが、結果的にはそれが"今日一"のプレーとなった。

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著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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