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【プレミアリーグ】ポステコグルーよ、いつの日かまた横浜で... トッテナムの選手もサポーターも皆「ボス」が好きだった (2ページ目)

【ハイラインにこだわりすぎた】

「あまりにもリスキーで非常識」

 アーセナルOBのポール・マーソンやリバプールOBのジェイミー・キャラガーは、そんな戦い方を認めなかった。だが、スパーズサポーターは勇気あるチャレンジに感動し、ポステコグルーを熱く支持していく。

 偽サイドバックの可変でライン全体を押し上げ、スペースを突いてチーム全体が攻撃的に仕掛ける強気が功を奏し、2023-24シーズンのスパーズは5位に入った。前シーズンから3ランクアップである。ポステコグルー体制は安泰と思われた。だが......。

 最終ラインの補強はままならかった。プレミアリーグの強度はすさまじく、ポステコグルーのアグレッシブなスタイルは消耗が激しい。特に最終ラインはアップダウンの頻度が高く、1枚でも多くの駒を必要としていた。

 ところがスパーズのダニエル・レヴィ会長は、2024-25シーズンの移籍市場で動かなかった。5人のDFを手放したにもかかわらず、ひとりも獲得しなかった。財布の紐が固く、クラブの成績よりも黒字経営の維持を優先する最高権力者は、ポステコグルーが要求したDFの補強に首を縦に振らなかった。

 クリスティアン・ロメロ、ミッキー・ファン・デ・フェン、ペドロ・ポロ、デスティニー・ウドギーの4人が揃っていれば、DFラインは問題ない。だが、彼らがシーズンをフル稼働できるほど、プレミアリーグは甘くない。

 負傷と勤続疲労で、ロメロは2023-24シーズンの33試合から18試合に、ファン・デ・フェンは27試合から13試合に出場数が激減している。個の力で最終ラインを支えた両センターバックの長期欠場により、スパーズは22敗も喫してリーグ17位まで落ち込んだ。

 その一方で、ポステコグルーも柔軟性を欠いていた。指揮官にはこだわりが必要であり、無策では勝てない。ただ、ロメロとファン・デ・フェンが負傷で起用できないのなら、ハイラインは断念すべきだった。

 実際、マンチェスター・ユナイテッドとのヨーロッパリーグ決勝では、頼りになる両CBが復帰してもDFラインの設定を下げ、スペースを消した。その結果、42分に挙げたブレナン・ジョンソンの先制ゴールを守りきり、スパーズに17年ぶりのタイトルをもたらしている。

 低めの設定が好みではなかっただろう。だとしても、ポステコグルーがハイラインにこだわりすぎたケースは散見した。

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