サッカー王国ブラジルに新監督アンチェロッティは何をもたらしたのか 復活の兆しと残る課題 (2ページ目)
【ホーム戦でブーイングが起こらない!】
パラグアイのグスタボ・アルファロ監督も、ブラジルのプレッシャーに対抗する難しさを認めた。マルキーニョス(パリ・サンジェルマン)、アレックス・サンドロ(フラメンゴ)、カゼミーロがサイドバックのサポートを受けて絶え間ないプレスを仕掛けたこと、ブルーノ・ギマランイスがパラグアイの選手たちに与えた「息が詰まるような」プレーなどを称えた。
アンチェロッティが発表した今回の招集メンバーには、いくつかのサプライズがあった。これまで予選で起用されていなかった選手たちがチームに戻ってきたのだ。ダニーロ(フラメンゴ)、カゼミーロ、マテウス・クーニャ、リシャルリソン(トッテナム)らだ。
ブラジル国内でプレーしているウーゴ・ソウザ(コリンチャンス)のように、アンチェロッティがあまり知らないはずの新顔の選手も含まれていた。さらに、ヨーロッパでプレーしているものの無名に近いアレクサンドロ・リベイロ(リール)なども招集された。
勝利以外にアンチェロッティが生み出した成果は、観客にブーイングをさせなかったことだ。2022年以降、ホームゲームでブーイングが起こらなかった試合は初めてだった。これはチームとサポーターとの間に新たなフィーリングが生まれたことを示す。
それだけではない。選手同士、そしてコーチとの間に、「皆で勝利を目指そう」という共通の気持ちが芽生え始めた。これまでのセレソンと比べると、これはものすごい出来事であり、なによりブラジルが先に進むために非常に重要なことだ。そしてこれらすべてはアンチェロッティのおかげなのだ!
もちろん、これですべての問題が解決したわけではない。依然として課題は残っている。
かつて創造性と才能で名を馳せたブラジルの攻撃陣は、現在ではゴールチャンスを作ることに苦しんでいる。ネイマールの負傷やルーカス・パケタのピッチ外での問題(賭博容疑で告発)によって、中盤の創造力は著しく貧困化している。守備面では組織的にはなってきているが、それでもなお脆弱だ。そして何よりこれまでの失敗のトラウマが、いまなおチームを苦しめている。
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