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クリスティアーノ・ロナウドはただのエゴイストではない なぜ誰でも決められそうなチャンスを仕留めているのか (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji

【誰でも決められそうなチャンスを確実に仕留める】

 40歳のロナウドは、すでにかつてのロナウドではなくなっている。

 曲芸じみた足技を連発していた10代、爆発的な走力とキック力で世界を震撼させた20代とは、全く違う選手になっている。

 よく比較されるリオネル・メッシは、もちろん変化はあるけれども、依然としてメッシのままだ。極論すれば6歳のメッシとやっていることはそんなに変わっていない。一方、ロナウドはプロとして第一線で活躍するなかでもプレースタイルが大きく変わっていて、現在は完全に別の選手になっていると言っていいくらいだ。

 キャリアのピークは過ぎている。もはやかつてのロナウドではない。その点では衰えたと言うこともできる。しかし全く別の選手と考えれば、依然としてポルトガル代表のエースに値する実力者であり、NLでもその力を存分に示した。

 NLの8ゴールはすべてペナルティエリア内からの得点。それもゴールエリア内、あるいはゴールエリアに近い至近距離からのシュートである。

 PKが1点、クロスボールから5点、味方のシュートがポストに当たったのを押し込んで2点。すべてワンタッチで決めている。決勝の1点を除けば、すべてロナウドでなくてもとれそうなゴールばかり。ポーランド戦ではオーバーヘッドで決めているが、全くフリーだったのでそこまで難しいシュートではない。

 誰でも決められそうなチャンスを確実に仕留める。これが現在のロナウドの特長なのだ。

 違う言い方をすると、ロナウドだから決められる得点でもある。NLでの8得点のほとんどは、二番手のゴンサロ・ラモスでも決められたかもしれないが、試合に出ているのがチームのキャプテンで偉大なロナウドだからロナウドが決めているわけだ。

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