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クラブワールドカップ優勝賞金は180億円 批判は封じ込めたが開幕しても問題は山積...... (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【国外からのサポーターは期待できず】

 選手の権利を守る国際プロサッカー選手会(FIFPRO)も黙っていなかった。クラブワールドカップの規模の拡大や開催時期の変更は「選手に対する重大な負担」であるとして非難した。

 すでにヨーロッパの主要リーグはオフシーズンに入っているが、世界にはリーグ戦真っ最中の国もある。そういう国では試合日程を変えたり、主力が不在のなかで試合を行なったりしなければならない。

 政治的な問題もあった。クラブチームはFIFAではなく、各国のリーグによって管理されている。FIFAは代表チームを統括する機関ではあるが、クラブを統括する組織ではない。つまりFIFAはクラブワールドカップを開くことで、クラブチームをも自分たちの権力下に置こうとしたのだ。これも大きな対立の原因となった。

 それでも最終的には、大会は開催されることになった。なぜか。

 クラブワールドカップにはコカ・コーラ、Visa、アディダス、DAZN、カタール航空、Amazon、Netflixといった巨大スポンサーが次々と名を連ねる。スポンサーが増えれば、当然、予算も増える。

 その結果、賞金総額は10億ドル(約1450億円)以上というとてつもない規模になり、優勝クラブには1億2500万ドル(約180億円)という、前例のない金額が与えられることとなった。それだけではない。出場するだけでも、各クラブには955万ドル(約14億円)が支払われる。この金額を前にして、出場を拒否するクラブなどほとんど存在しなかった。

 だが、問題はいまだ山積みだ。そのうち最大のものが、大会を前に明らかになった。国外からサポーターがほとんど来ないのだ。

 その要因のひとつがアメリカへの入国だ。ビザ取得が困難で、手続きに長い時間と高い費用がかかる。多くのファンが渡米を断念した。チケットの価格も高すぎた。140~300ドル(約2万~4万4000円)といった値段が設定され、一般のサッカーファンには手が出ない価格となっていた。もちろん、アメリカの物価の高さもネックだ。多くの国のサポーターにとって、アメリカはホテルも食事もあまりにも高すぎる。

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