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アンチェロッティはブラジルを救うか リバウド、サッキ、デル・ピエロ...国内外のレジェンドたちが大論争 (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【「外国人監督など必要ない」】

 レアル・マドリードでプレーしたことがあるもうひとりの元ブラジル代表選手、ジュリオ・バチスタは、外国人監督起用は支持するが、不安定な環境に警告を鳴らし、アンチェロッティがチームに構造的な変化をもたらす時間がないと指摘した。

 アベル・ブラガは、2006年に東京で開催されたクラブW杯でインテルナシオナルが優勝した時にチームを率いていた監督だが、こう述べている

「アンチェロッティはブラジルが犯している間違いをすべて解決できる人物ではない。彼には敬意を抱いているが、彼のなかにはブラジルらしいアイデンティティも、情熱も見えない」

 そして反対派。これはどちらかというと感情的な意見だ。

 元ブラジル代表監督で日本でも指導経験のあるエメルソン・レオンは、完全に反対の立場だ。彼は外国人監督に指揮を委ねることはブラジルサッカーにとって後退であるとし、アンチェロッティのブラジルサッカーについての知識不足を指摘。この選択は「ブラジルサッカーのアイデンティティの危機」だと言う。

 W杯で優勝経験のあるリバウドも、ブラジルには外国人監督など必要ないと言う。ブラジルには有能な監督がおり、アンチェロッティの選択は伝統への尊重の欠如だと叫ぶ。

 一方、ジャーナリスト兼ドキュメンタリー作家のジョアン・カルロス・アスンプソンは少し違う反対派だ。彼はこの選択が、CBFが自分たちのスキャンダルから目を反らすための戦術にすぎないと言っている。

 ちなみにアンチェロッティ就任の賛否は、ブラジル国外からも聞こえてくる。彼の母国であるイタリアでは、ファビオ・カペッロが次のように述べた。

「アンチェロッティは偉大な監督だが、代表チームとクラブは異なる。彼はこれまで経験したことのない問題に直面するだろう。ブラジルがアイデンティティの危機に直面している今、彼が最良の選択かどうかはわからない」

 アンチェロッティの現役時代の監督でもあるアリゴ・サッキはさらに厳しい。

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