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アンチェロッティはブラジルを救うか リバウド、サッキ、デル・ピエロ...国内外のレジェンドたちが大論争 (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【賛成意見だけではない】

 それだけではない。ブラジルサッカーの最高機関CBF(ブラジルサッカー連盟)はスキャンダルと政治的な駆け引きで、サッカーどころではない。過去13年間で11人の異なる会長が就任していて、うち任期を全うしたのはたったひとり。平均して14カ月ごとに会長が代わっている。その理由は汚職、偽造、逮捕、司法による解任、詐欺......。アンチェロッティを招聘した張本人エルナンド・ロドリゲスも、監督就任が発表された数日後に、裁判所の判決を受けて解任された。

 ブラジルサッカーは何もかもうまくいっていない。つまり、アンチェロッティを待ち受けているのは、かなり難しい状況なのだ――。

 ではまず、賛成意見を見ていこう。ブラジルは世界で最も優秀な監督を招聘した、セレソンはそれに値するチームだと考える人々だ。

 かつてレアル・マドリードでプレーしたこともあるサヴィオは、アンチェロッティのチーム管理能力、勝利の経験を評価し「彼がセレソンに改革と刷新をもたらすことを期待している」と強調した。

 ブラジルの著名なジャーナリスト、マウロ・セザール・ペレイラは、アンチェロッティがネイマールに依存しない姿勢を称賛し、「ついに代表チームに本物の監督が就任した」と述べた。

 アンチェロッティが就任記者会見を行なったホテルには、賛成派のサポーターが集まった。

「僕たちはもうネイマールもCBFも信用できない。でも、アンチェロッティの登場は唯一希望を与えてくれる」

 ブラジルのユニフォームを着たそのうちのひとりは語った

 次に懐疑派だ。彼らはアンチェロッティの手腕は認めるものの、それが今のブラジルを救うには十分でないと考えている。W杯まであと1年というこの時期に、いくら優秀でも、ポルトガル語を話せない、ブラジルのサッカーを肌で知らない監督では難しい、という意見だ。

 ブラジルの選手が活躍できないのは、メンタル的な要素が大きい。ブラジル人でないアンチェロッティがそれを解決するのは難しい。それならまだ心理療法士のほうがいいと言うのだが......。

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