サッカー日本代表のDFリーダーへ 町田浩樹がベルギーで得た成功体験と面構えの変化 (3ページ目)
【クリーンな守備もメディアから高く評価】
最後まで激しく優勝を争ったクラブ・ブルッヘとの直接対決では、町田のフィードを警戒した相手がパスコースを消したことで、攻撃に絡むことなく終わった。そのほかのプレーオフでも、町田は以前より守備に重きを置いたプレーをしていた。
そこがまたベルギーメディアに好意的に捉えられ、「町田、マック・アリスター、バージェスの3人は、相手ボールをタックルすることに喜びを見出している。そこがユニオンの強さの秘訣だ」と分析された。プレーオフでイエローカードを受けたのは、最終節ヘント戦の1枚だけ。そんなクリーンな守備もベルギーメディアから高く評価された。
5月26日、ベルギーリーグ・プレーオフ最終節。首位ユニオンはヘントを3-1で下し、90年ぶりのリーグ優勝を果たした。表彰台でチームメイトやサポーターにもみくちゃにされた町田は、「去年、一昨年のシーズンと比べると、今季のユニオンはスーパースターがいないんですけど、チーム力・総合力が秀でていた。それが優勝できた要因だと思います」と語った。
この短いコメントに、ユニオン、そして町田浩樹の魅力が詰まっている。
ユニオンのスカウティングはデータを駆使して選手をピックアップし、そのうえで実際のパフォーマンスと人となりを徹底的に解析して獲得するという。アンカーとして中盤の守備を支えたシャルル・ファンハウテは「僕を獲得する時、ユニオンは41ページもの調査書を作って僕のプライベートも調べ上げていた」とインタビューに答えている。ユニオンにスカウトされるということは、フットボールの能力はもちろん、人としての魅力も担保されているということだ。
しかもユニオンは、世界的には無名の選手にベルギーでプレーするチャンスを与えようとするチームだ。ドイツ代表のFWデニズ・ウンダフ(現シュトゥットガルト)やナイジェリア代表のFWヴィクター・ボニフェイス(現レバークーゼン)のように、ユニオンからスターとして羽ばたいた彼らは、もともと無名の選手だった。
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